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部落問題を考える

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 部落の環境は大幅に改善され、露骨で強固な偏見は以前と較べれば減りつつあります。しかし、それでもなお差別解消の前に立ちはだかっている人びとの意識――。2007年に『見なされる差別―なぜ部落を避けるのか』(解放出版社)を出版した部落問題の研究者、奥田均さん。人びとのどのような意識が部落差別を支えているのか、またその解決への糸口について、お話をうかがいました。

見なされることへの不安が部落差別をつくる

なぜ「部落出身者差別」と表現しない?なぜ「部落出身者差別」と表現しない?

 この社会には、さまざまな差別が存在しています。障害者、女性、在日外国人、アイヌ、セクシュアル・マイノリティ……、そのなかに「部落差別」と呼ばれるものがあります。
 私は、長年、部落差別について研究してきたのですが、ある時、ふと「部落差別」という表現にひっかかりを感じました。通常、「○○差別」と表現する際には、「障害者差別」「女性差別」といったように、差別を受けている対象が○○の中に入ります。本来ならば部落差別も「部落出身者差別」「部落民差別」と表現されて然るべきでしょう。なぜ、この場合だけが「人」ではないのか。素朴な疑問が「見なされる差別」という研究のきっかけとなりました。

「定義のあいまいさ」が不安をふくらませる

同和地区出身者であることの判断基準の表 そもそも、「部落出身者」の定義そのものが千差万別です。大阪府は2000年に「同和問題の解決に向けた実態等調査」を実施しました(右図)。「今、部落に住んでいる人」を部落出身者ととらえる人から、「祖父母が部落に生まれた人なら部落出身者である」ととらえる人まで非常に幅広いことがわかります。考え方によっては部落出身者の定義は限りなく広がるのです。「祖父母の出生地まで気にしていたらきりがないじゃないか」と感じる人もいるでしょう。しかし現実には、興信所に依頼して戸籍をたどり、何代もさかのぼって部落出身者ではないかどうかを確かめる差別事件が今も起きているのです。部落出身者は誰かという「定義のあいまいさ」こそが〈見なされる〉ことへの不安をふくらませ、部落差別の独特な形態を生み出していると言えます。


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