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世界記憶遺産とは

2015/05/08


世界記憶遺産とは

正式名称は「世界の記憶」(Memory of the World)、ユネスコが主催する事業のひとつで、危機に瀕した書物や文書などの歴史的記憶遺産を保全し、広く公開することを目的とした事業です。1992年に創設され1997年から2年ごとに登録事業をおこなっていて、2014年1月現在301件が登録されています。日本からは「山本作兵衛コレクション」、「御堂関白記」、「慶長遣欧使節関係資料」(スペインと共同申請)の3件が登録されています。

この事業の目的は、世界的に重要な記憶遺産の保存を最も相応しい技術を用いて促進すること、重要な記憶遺産になるべく多くの人がアクセスできるようにすること、加盟国における記憶遺産の存在および重要性への認識を高めることにあります。

申請は政府および非政府機関を含む全ての個人または団体ができます。偶数年の3月末日までに英文推薦書をパリのユネスコ本部に提出することが必要です。ただし、3件以上の申請が1国からあった場合は、ユネスコ本部が各国の国内ユネスコ委員会(日本は文部科学省内)に差し戻し、国内ユネスコ委員会が2件に絞り込んでユネスコ本部に再申請します。一度の審査で1国2件までの登録が可能です。

日本で最初の人権宣言といわれる「『全国水平社創立宣言』と関係資料」は2014年に申請されましたが、日本ユネスコ国内委員会の選考の結果、「舞鶴への生還」と「東寺百合文書」が選ばれ推薦枠から外れました。2016年の申請に向けて、再度取り組みが進められています。

人権に関連した世界記憶遺産の登録例を10例紹介します。

(1)山本作兵衛の炭鉱記録画コレクション(日本)

(2)アンネ・フランクの日記(オランダ)

(3)1980年の人権運動の記録遺産-1980年5月18日の光州民主化運動の記録(大韓民国)

(4)トゥール・スレン虐殺博物館の記録(カンボジア)

(5)1893年の女性参政権の請願書(ニュージーランド)

(6)チリの人権活動の記録(チリ)

(7)バルトの道-自由を求めてバルト三国を結んだ人間の鎖(エストニア,ラトヴィア,リトアニア)

(8)ヘンリック・イプセン:『人形の家』(ノルウェー)

(9)ベルゲンのハンセン病記録文書(ノルウェー)

(10)「人間と市民の権利宣言」の原文(1789~91年)(フランス)

以 上

 

【参考資料】
◎「ユネスコ 世界記憶遺産公式ホームページ」(英語)

 

【参考文献】
◎「世界記憶遺産百科 全244のユネスコ世界記憶遺産」2014年 出版社 ㈱柊風舎

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【制作協力】
大阪同和・人権問題企業連絡会