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「基本編」


Q8.部落に住む人が別の場所に移り部落をなくしてしまえば、部落差別はなくなるのではないでしょうか?

非現実的な考えです。部落を離れても差別は生じています。

日本国憲法は、居住・移転の自由を定めています(第22条)。どこに住んでいようとも、人は幸福を追求する権利を認められているのです。差別があることを問題にしないで、部落に住んでいる人に転出を求める発想は、憲法の精神に反しているといえます。

それだけでなく、コミュニティ(生まれ育ち、あるいは生計を立ててきた地域とそこでの人間関係)から切り離されることは、人が生きていくことをはなはだしく困難にします。

政府報告書の統計によると、部落は、行政から同和地区として指定されたところだけでも4442地区、そこに住む人は(自分は部落出身でないと考えている人を含めて)215万人以上を数えます。これだけの人数を移転させ、なおかつそれ以降、その場所への居住を禁止するなどということは、人権侵害であるだけでなく、現実的にも不可能です。

また、近代都市の発展のなかで、スラムの排除がくりかえされてきました。その際行政が部落とその周辺にスラムを集めるという政策をとった結果、大規模部落がつくられていった例も、あきらかにされています。部落に移り住んだ人たちも、やがて部落の人だとみなされるようになります。住んでいる人はほとんど入れ替わっている部落もあります。

現在、部落からの人口流出がみられます。就職の多様化にくわえて、農村部の部落では過疎化、都市部の部落では公営住宅を建てることで環境改善がすすめられてきたため、新たに高層住宅や分譲住宅などを建てるための土地が少ないという事情などが、その背景にあります。

ただし、部落から離れても、身元調査(Q15参照)が行われる限り、部落差別をうけることは実際にあります。深刻な差別事例をみると、実は部落を離れて暮らしている家族が目立つ、という指摘もあります。部落外に住む部落出身者が増えたことで、差別と出会う機会はむしろ拡大しているにもかかわらず、相談する先が十分には確保されていないことが、新たな課題であるといえます。