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「在日コリアン」


4 在日コリアンの子どもは民族名で通学できる?

在日コリアンの息子は来年、小学校にあがります。日本人の子どものように就学通知はくるのでしょうか。また、民族名のまま日本の学校にいけるのでしょうか。

在日コリアンの息子は来年、小学校にあがります。日本人の子どものように就学通知はくるのでしょうか。また、民族名のまま日本の学校にいけるのでしょうか。

日本国籍者と同様の就学通知はありません。ただし、市町村教育委員会は、公立の義務教育諸学校への入学を希望する外国籍の子どもたちがその機会を逸することのないよう、学校教育法施行令第5条第1項の就学予定者に相当する年齢の在日外国人の保護者に対し、入学に関する事項を記載した就学案内を発給します。

義務教育諸学校に入学する際に、学校教育法施行令第1条により作成される学齢簿に入学予定者と保護者の名前が記載されますが、在日外国人の場合は、2012年7月の外国人登録法廃止までは外国人登録原票記載事項証明書により作成され、民族名(本名)が原則とされています。しかし、通名(日本名)を用いる必要のある場合には、民族名に添えて、かっこ書きをすることになります。入学時には学齢簿に記載されている名前で入学をしますが、在日コリアンの子どもの多くは日本名で通っているのが現実です。

在日コリアンの保護者に対して、民族名による就学を呼びかけている教育委員会や学校もありますが、多くの学校では名前も日本名を使用することが配慮と考えています。これには、日韓条約締結後の1965年、文部省(現、文部科学省)が「日本の子弟と同様に取り扱うものとし、教育課程の編成、実施については特別の取り扱いをすべきでない」という次官通達を出し、民族教育を否定し同化教育(*)を押しつけてきた背景があります。

在日コリアンの子どもたちが日本名を名乗っている場合、日本人の子どもはクラスに在日コリアンのクラスメイトがいることすら気づかないことがほとんどです。あるいは民族名で通学する在日コリアンの名前が、差別的なからかいの対象になる場合もあります。当たり前に民族名を呼び、名乗ることができる学校・教室であることが、在日コリアンの子どもが民族名で通学するためには不可欠の条件です。学校の教職員は在日コリアンの子ども、保護者の思いや願いを理解し、違いを違いとして認め合うことのできる環境をつくり、在日コリアンの子どもたちが自らのアイデンティティを確立して、あるがままに生きられる多民族多文化共生社会を創造する取り組みを進めなければなりません。

なお、日本政府は1991年、韓国政府との「覚書」を受け、「公立学校に通う在日韓国人の児童生徒の民族学習について、課外活動として行われるのならば、学校内で学習したり、学校側が支援したりするのは問題ない」という局長通知を出し、ようやく同化教育の一部を見直しました。

*【解説】同化教育 同化教育とは、植民地をもつ国が統治下の他民族に自国の言語や文化を注入することを目的とした教育であり、国内の少数民族などに対しても行なわれる。民族のアイデンティティを奪う教育といえる。日本は、戦前、植民地である台湾や朝鮮、東南アジアなどの占領地で日本語や日本の歴史などの教育を行なった。国内ではアイヌ民族に対して、名前を日本式に改めさせたり、沖縄県民に対し琉球王国時代の沖縄独自の言語「ウチナーグチ」ではなく、「ヤマトグチ」(いわゆる日本の標準語)を強制したりしました。

戦後も、「日本人と同様に扱う」という形で、在日コリアンなどに対する同化教育が行なわれてきた。多民族・多文化共生教育の創造が求められている。

*執筆協力:NPO法人 多民族共生人権教育センター