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「性同一性障害」


10.性同一性障害と家族関係
Q1:会社員をしている42歳です。家族の留守中、自宅で女装を楽しんでいたところ、中学生の娘が予定より早く帰宅し、見られてしまいました。相当ショックだったようで、それ以後口もきいてくれません。妻は以前から知っているのですが好意的ではなく、今回も「それ見たことか」といわんばかりです。どうすればいいでしょうか。

Q2:36歳の主婦です。先日、夫の部屋を整理していると、女物の下着や服、化粧品が出てきました。サイズなどから夫自身が使っているもののようです。あわてて元に戻しておきましたが、今後、夫とどう接していけばいいのでしょう!? 女装のことを問いただす勇気もありません。

Q3:高校生の娘は、身体は問題なく成熟してきているのですが、本人に女としての自覚がありません。化粧やおしゃれにも興味がなく、服装は制服以外は男物ばかりです。男友達が多いわりには、恋心を抱くこともないようです。このままではお嫁に行けないと思ってうるさく言うと「俺は男だから」などとわけのわからないことを言い返してきます。娘に女らしくさせる方法はないものでしょうか。

人は「女」や「男」である前に、まずひとりの「人間」なのではないでしょうか。
たとえ女装することが判明したとしても、その人がその人でなくなるわけではありません。性別が変わっても、その人はあくまでもその人なのです。これをふまえて、家族はありのままのその人を受け止めてみる。そこから新しい関係がスタートするはずです。
近年は性同一性障害をはじめとするセクシュアルマイノリティに関する情報も増えています。関連の書籍やインターネットをプリントアウトしたものを、さりげなくリビングのテーブルの上などに置いておくのも、ひとつの手かもしれません。一定の予備知識を持った上で、家族でしっかりと話し合い、当人の抱いてきた性別違和感や、女装せずにはいられなかったやむにやまれぬ気持ちを共有できるようにしてみましょう。

Q1の会社員の方の娘さんは中学生ということで、難しい多感な年頃でもありますが、逆に若いということは柔軟な発想ができるということでもあります。学校で総合学習などの時間に性の多様性について学んでいる場合もあります。率直に話せば理解してもらえる可能性は高いです。

Q2の主婦の方は、自分が愛されているかどうかが気になるかもしれませんが、心が女性だから愛するのは男性とは限りません。配偶者どうしでよく話し合って、二人の関係の在り方を決めていけばよいのではないでしょうか。今よりもさらに好ましい間柄になれるかもしれません。

それからQ3の事例は、親御さんの「女の子を生んだはずなのに」という気持ちもわかるのですが、やはり性同一性障害が「障害」になってしまうのは周囲の無理解です。腹をくくって、お子さんのあるがままの様子を受け入れてあげてください。性同一性障害は異常でも人倫に反することでもありません。その人が、こうなりたい自分・そうあるべき自分になろうとしているだけなのです。それをいけないことにしてしまっているのは「女はこうあるべき」「男はこうすべき」などと決めつけている社会の不寛容なのです。どうか親として、わが子の行く道を暖かく見守ってあげてください。