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4 上司は、私の仕事のミスが多いという理由で、私を小さな会議室に閉じ込めて、1日中反省文を書くように命じました。

私は入社して2年目になりますが、上司からは、「仕事を覚えるのが他の社員に比べて遅い。」「気持ちを入れ替えろ。」と叱責されてきました。最近、上司は「仕事のミスが多い。反省しろ。」と私を1日中小さな会議室に閉じ込めて、今までの仕事のミスを書き出して、反省文を作成するよう命じました。「業務上のミス再発防止のために社員教育は必要不可欠であり、反省することも改善策を考えることも社員教育の一部である。」と上司は言います。また、制裁として来月から給料が5%減額されます。私は、このような仕打ちには耐えられません。

 パワーハラスメントは、法律上の明確な定義はありませんが、職場における職務上の地位や影響力に基づき、人格や尊厳を侵害する言動を行い、相手や周囲の人に身体的・精神的苦痛を与え、就業環境を悪化させることを言います。

 この事例では、上司は「社員教育の一部」と主張していますが、社員教育とは名ばかりであり、「パワーハラスメント」・「いじめ」・「他の社員へのみせしめ」「スパルタ教育」と言わざるをえません。たとえ場所が職場の会議室であっても、1日中監禁状態にして行われています。また、給料も減給されています。

 制裁としての減給が適法であるかどうかは、それが就業規則に定められていなければいけません。また、懲戒権の濫用・公序良俗違反とならないような適正な運用が求められます。たとえ、減給制裁が就業規則に定められていても、労働基準法第91条では、減給制裁の制限として、(1)1回の額が1日の平均賃金の半額以内、(2)総額が一賃金支払い期の賃金総額の10分の1以内でなければならないとされています。この事例では、5%の減給制裁がこれ以降もずっと続けられるのであれば、法律違反の行き過ぎた制裁となります。

 これらは、ミスを犯した者に肉体的・精神的・経済的な打撃を与える「懲罰」的や「暴力」的なものです。こうしたことで相当程度の被害をうけ心身の傷病となった場合、労働災害になることもあります。

 対応手段としては、状況をできる限り詳しく記録し(いつ、どこで、誰に、何をされたか等)、証拠を用意しましょう。次に書面で加害者に行為の中止、会社に対して再発防止を求めてください。また、企業内に労働組合があれば、労働組合に相談してください。企業内での解決が困難な場合は、労働局または労政事務所、都道府県法務局の人権擁護相談窓口にご相談ください。

執筆協力団体:連合大阪なんでも相談センター「労働相談Q&A」