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「雇用・労働問題」


8 前科があることを隠して就職しましたが、会社に知られてクビになりました。

会社の就職面接時に提出した履歴書には、前科があることを書きませんでした。前科と言っても、刑を終えて出所して10年以上経っています。しかし、会社がこれを知ることになり、経歴詐称を理由に解雇されました。日本社会は、一度レールから外れてしまった人間には非常に冷淡です。

すべての経歴詐称が懲戒処分の対象となるわけではなく、真実を告知したならば採用しなかったであろうという重大な経歴詐称に当たる場合には、懲戒解雇が有効とされることが多くあります。経歴詐称でもっとも問題になるのが、学歴・職歴・犯罪歴です。

 しかしながら、事例のように刑を終えて10年以上経過している場合、刑の消滅した前科について履歴書の賞罰欄に犯罪歴まで記載すべき義務はないとされている裁判例があります。  刑法では、「禁固以上の刑の執行を終わった者等が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したとき」に刑の消滅と定められ、これは刑の言い渡しによって失った資格や権利を回復させる「法律上の復権」であると解されています。

 刑の消滅とは、法律上刑の言い渡しがなかったときと同じ状態になるということであり、過去において刑を受けたことがあるという事実まで消滅させるものではありません。

 犯罪歴に関して、判例では、起訴され裁判の最中であることは「罰」には含まれないとされ、また、履歴書の賞罰欄に起訴猶予事案等の犯罪歴(いわゆる「前歴」)まで記載すべき義務はないとされています。さらに、少年時代の非行に関する申告義務はないとされています。

 刑余者の人権で最も深刻なのは、社会から受ける差別です。刑務所で罪の償いをしているのですから、社会が「前科者」のレッテルを貼って差別するのは、人間としての尊厳を傷つけるものといってよいと思います。

 出所後の生活資金を得るためには、まず働くことが大前提となりますが、刑余者の就職はたいへん困難です。2007年に更生保護法が制定され、更生保護の強化、就労を含む刑余者の支援体制に大きな期待が寄せられているのですが、刑余者が円滑な社会復帰を果たすためには、国民や地域社会の理解と支援が何よりも大切です。

執筆協力団体:連合大阪なんでも相談センター「労働相談Q&A」