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7.バイクで交通事故に。自分は被害者なのに修理代を請求された

バイクで青信号の交差点を制限速度で走行中、赤信号で交差点に走行してきた乗用車に衝突されました。幸い生命に別状はなく、示談で解決することになりました。けがをしたので治療費は相手が払うことになりましたが、相手側の自動車保険会社からバイクと車の修理代の一部を負担するよう言ってきました。見積もり額では、バイクより車の修理代のほうが高く、それでなくても通勤に使用していたので修理期間中は通勤手段に困りました。ルールを守っていた私が、なぜ修理代を負担しなければならないのか納得いきません。

 法規どおりに走行していたのに衝突され、自分のバイクのみならず相手の車の修理代まで請求される。納得いかない気持ちをもたれるのも当然だと思います。

 まず、警察や保険会社による事故の取り扱いは、単なる車両同士の事故としての物損事故か、人間が損害を受けた人身事故かによって違います。事故時に警察から事情を聞かれ調書が作成されているでしょうから、はっきりしない場合は届けた警察署に問い合わせてください。

 人身事故となると、加害者には、被害者に与えた損害を賠償する責任(民事責任)、けがをさせたことによる刑法の業務上過失傷害の責任(刑事責任)、運転免許の停止などの責任(行政処分)という、三つの責任がかかってきます。被害者が仕事を休んだ場合は、休業補償も請求できます。通勤手段に困ったということですので、その慰謝料も請求することができます。

 あなたの場合は示談になったようですから、単なる物損事故として処理されたのかもしれません。しかし、けがをしていることから人身事故にもなり得るケースです。物損事故としての扱いでは納得できないという場合は、警察に変更を申し出ることも可能です。

 しかし、事故に関する直接費用は、事故当事者の責任割合によって計算されます。たとえば「青信号であっても注意しながら走行しなければならない」という義務規定が課せられており、どれくらい周囲に注意を払っていたかを細かく問われることになるので、一方に落ち度がまったくないということにはなりにくいのが現状です。

 けがをしたということですが、後遺症は大丈夫ですか。示談後に、後遺症が出てくることもあります。示談書には、後遺症について何か書かれているでしょうか。もし後遺症が出た場合、示談書に「今後、いっさい請求しない」旨の文言があったとしても再交渉はできますが、示談書をつくるときに、「後遺症が出た場合は、あらためて協議する」といった内容を書いておけばいいでしよう。

 さらに詳しい相談は、地域の無料交通事故相談などや各種相談機関の利用をおすすめします。

執筆協力: 特定非営利活動法人 大阪被害者支援アドボカシーセンター