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ふらっとへの手紙

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2011/12/16
ふらっとへの手紙 大阪DARC vol.3


すべてをさらけ出せる安心感のなかで、
クスリをやめられない自分を認められた 大阪DARC ピア・カウンセラー カズアキさん

初めて受け入れられた気がした

 最近、本名を名乗ってるんですよ。10年前にダルクに来てからずっとリュウっていうニックネームだったんですけど、怖い人みたいでしょ(笑)。10年前はちょっと怖い人だったんですよ、見た目がね。でも今はずいぶん変わりました。

 ダルクに来る気はなかったんです。でも精神病院に入院するのもイヤで、仕方なく訪ねました。

 面談してくれた人は全身入れ墨で、ぜんぜんしゃべらない。「なんだここは。もう来ない」と思いました。ところが帰りにクスリを買って再使用したんです。ものすごい落ち込んで、ダルクに「クスリを使ってしまった」と電話しました。そうしたら「今すぐ来い」と言ってくれた。クスリを止められないということを素直に話したのも初めてだったし、「今すぐ来い」と言ってもらったのも初めてでした。「二度と来るな」とは何回も言われてましたけど。だからダルクに行き始めたんでしょうね。受け入れてもらえたという気がしたんだと思います。

 入れ墨の人は当時の施設長でした。再び訪ねたぼくに「何もがんばらなくていいから、毎朝、とにかく遅刻せずに来い」と。クスリをいかに止めるかという話もなかった。それがぼくにはよかった。翌日から朝10時にダルクに行く生活が始まりました。

  依存を認めた時、クスリから解放された

 クスリを使い始めたのは17歳の時。バイト先の先輩に誘われたのがきっかけで大麻を吸い始めました。そのうち友だちから覚せい剤を勧められ、週末の夜にみんなでお金を出し合って買って楽しむようになりました。依存症になるなんて思いもしなかった。でも、週末にクスリで一睡もせず遊ぶというパターンが続くうち、月曜日の仕事がつらくなってきました。そして仕事の前に一発というふうに、だんだんふだんの生活にもクスリが必要になっていったんです。一人でクスリをやりたいからどんどん人を遠ざけ、お金もクスリにつぎ込む。クスリ中心の生活になりました。

 ダルクやNA(※)のミーティングに参加するようになっても、何度もクスリを使いたい欲求にかられました。常に金のネックレスをつけて、ミーティングでも「今日はこれを売ってクスリを買いに行きます」とか、そんなことばっかり言ってました。みんなは笑って、「行ってらっしゃい」と言うんです。そう言われると「なんやねん」と面白くなくて行かない(笑)。そんなふうにクリーン(薬物を使わないこと)を重ねてきました。

 面談の後に使って以来、覚せい剤は一度も使ってません。ただ、5年目ぐらいにすごいフラッシュバックがあり、受診した医者からリタリンを処方されました。飲むとフラッシュバックはピタッと治まったのですが、リタリンの過剰摂取が始まりました。ぼくにとってはとても危険な薬だったんです。

 結局、またミーティングに参加するようになりました。すごく複雑な心境でしたね。クスリを再使用することをスリップといい、それまでのクリーンタイムは失われます。またゼロからのスタートになるんです。「医者から処方されてるクスリやし」「でも正直に言ったら、みんなにクリーンじゃないと言われるんじゃないか」などと考えると言えないんですよ。

 最終的に、自分で認めるしかないんですね。「覚せい剤ではないけど、処方量を守れず、乱用してる。依存という病が出ている以上、自分はクリーンじゃない。自分ひとりで何とかするのも無理だ」と認めた時、クスリから解放された気がします。ミーティングに通い始めると乱用が止まりました。再びクリーンが始まったんです。

すべてをさらけ出せる安心感

 ミーティングで話されることは「メッセージ」です。ぼくの失敗談や経験は必ず誰かの役に立つ。そう感じた時、恥だと思ってもしゃべるべきだと思うようになりました。スタッフになるつもりはなかった。自分みたいなめんどくさい人が何十人もいるわけで、「無理無理」って(笑)。でも、そう言いながら、ダルクにいて仲間とふれあっていると何ともいえない安心を感じるんです。ぼくたちにとって絶対必要なのは「安全な場所」と「安全な人」、つまりクスリのことをすべてさらけ出せる環境です。これがあれば、ダルクじゃなくてもクスリを止めていけるかもしれないと思うんですよ。

 そして、しゃべらなくてもいい、何もしなくていい、いるだけでいい。この安心感はとても大きいです。ぼくはクスリを止めるためにいろんなところに行きましたが、ダルクのような安心感は得られませんでした。それが11年経った今でも変わらずあるので、とてつもなく大事な場所だと思います。逆にいうと、「安心感」がないとクスリを止めていくのは困難じゃないかと思います。

 ぼくのクリーンは4年4ヶ月になります。今、夢中になっているのはバイク。今年、中型の免許をとりました。今38歳なんですけど、白髪が出てくるころにハーレーみたいな大型バイクで走るのが夢です。(談)

※NAとはNarcotics Anonymous(ナルコティクス・アノニマス=無名の薬物依存者たち)の略で、12ステップを使った薬物依存者の自助グループのこと。1953年にアメリカで始まって以来、世界50数カ国に広がっている。

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