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高齢者

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2000/06/22
言葉の介護はほんまに大切ですな。


江村利雄さん 食事は3度とも嫁が冷蔵庫に入れておいてくれます。それを電子レンジで順番に温めて、会話をしながら1~2時間かけて一緒に食べるんです。あまり食べないときは、「おまえ、もっと食べとったやないか」と、叱ったり、なだめたり。自立心を引き出せるように、できるだけ自分で食べさせ、話をさせる。気合を入れて、生きる活力や気力を持たせるようにするんです。食事の後片付けは、2人分だけですからジャーと洗っておきます。ようゴム手袋をするのを忘れて、洗剤まけで指先が割れてしまう。あれって、痛いでっせ。そして午後からは、野菜作りに畑に行ったり、会いたい人と話し込んだり、自分の時間です。

自転車で買物に行ったりもしますが、「奥さん、どうですか?」って、10人中4~5人は声をかけてくれはります。市長って話しにくい存在やったんか、現職中にはなかったことですよ。

介護を経験して痛感するのは「心のケア」の大切さ。来春から介護保険も始まりますが、いくら制度ができても、家族の協力は欠かせません。受け手も「全てしてもらえる」という意識ではダメ。できるだけ自立する努力をし、ヘルパーさんなどサービスを提供する側も、相手の立場にたった自立をうながす介護を心掛けてほしいですね。

(次回へつづく)


江村利雄(えむらとしお)
前 高槻市長(大阪府)
1924年大阪府高槻市生まれ。摂南工科専門学校(現大阪工業大学)卒業。終戦後より大阪府職員に。22歳で結婚。大阪府で水道部工務課長、水道部技術長を歴任し、'80年55歳で退職。翌年高槻市助役に就任。'84年4月市長に初当選。4期目で在任15年。1年の任期を残し、'99年4月30日付で退任。著書「夫のかわりはおりまへん 高槻前市長の介護奮戦記」(徳間書店)を12月刊行予定。
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