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高齢者

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2001/12/04
自分の人生はいつまでも自分が主人公。老いに責任を持ち懸命に生きよう。


「日本人の平均寿命は世界一でありながら、世界でも有数の『長患い大国』。“ぴんぴんころり”と逝くために、自分の老いに責任をもて! 個の自立を目指せ!」と関西人独特の気迫で呼びかけるのは、福祉先進国スウェーデンで7年間暮らし、介護のあり方を身をもって体験、研究してきたホルム麻植佳子さん(51歳)。現場で働いてきた人ならではの説得力と年齢とともに燃えさかる向学心で、行く先の見えない日本の高齢社会に鋭いメスを入れます。元凶は「老後はだれかが面倒をみてくれるという甘えた国民性にある」と。

麻植さん制作の「ぴんぴんころりバッジ」、へび年バージョン

ホルム麻植佳子さんは、3年前から干支にちなんだバッジを作っている。題して『PINPINKORORI(ぴんぴんころり)バッジ』。人は生きたようにしか老えない。生きてきたようにしか死ねない。だからこそ、自分の老いに責任を持ち、長患いをせず、よく生き てころりと逝こうという印。豊かな老いを目指す高齢者へのピリ辛のエールでもある。

 
 

長患い大国、日本。どうなるかは自分の心掛けしだい。

日本人の平均寿命は女性が84歳、男性が77歳と世界一。とはいえ、他国と比較して長患いが非常に多く、寝たきりはスウェーデンの20倍、痴呆は10倍です。これじゃ本人も周りも、社会も不幸です。かつての日本は平均寿命も低く、これまで老後の社会教育や健康教育がまったくされなかった。そうした甘い認識のツケが薬信奉の日本をつくってしまったんです。それと、依頼心の強い国民性。個の確立ができていない日本人はすぐ人に頼り、「老後はだれかが世話をしてくれる」といった甘っちょろい考えを持ってしまう。スウェーデン人とまったく違う点です。いくら年齢を重ねても、人として生きることに自分で責任を持つべきです。自分の一生は、自分がいつまでも主人公でなければいけない。正面から死と向き合わなければ。自分の人生を自己決定できる高齢者になってほしいんです。

私は、世界でもっとも先進的な生涯学習社会であるスウェーデンで学び、働けたことをどんなに感謝しているか。国民の豊かな老後のために約40年に渡って福祉政策を整備し、少子高齢化を乗り切ってきた国。すでに50年代から高齢者教育を取り入れ、老後の生活のあり方を啓蒙してきた。それだけにスウェーデンのお年寄りは見事です。生涯学び、自立して暮らすという個の自立が確立している。少々のハンディを背負っても、残された能力でできるボランティア活動を続けています。

一瞬一瞬を一生懸命生きるために。

超多忙の毎日、自宅でホッとできるひとときを癒してくれる麻植さんの愛猫
麻植さんが初めてスウェーデンを訪れたのは1973年だ。当初から看護教育者を目指しており、看護学校を卒業後、看護婦を1年経験して、ネパールへの医療ボランティア参加。その帰り、後学のためにと福祉先進国スウェーデンに立ち寄り、そこで目にしたのが、すでに14%が高齢者というお年寄りだらけの街だった。その一方で、その後の人生のパートナーとなるホルム氏との出会いがあった。

 
今の私の生き方のベースとなっているのは、医療ボランティアとして行ったインド、ネパールでの強烈な実体験。人々の“のたれ死に”という無惨な姿でした。あまりに過酷なその死にざまに、「人はホンマにいつか死ぬんや」という現実を知らされた。「自分の人生の一瞬一瞬を一生懸命生きなあかん」と、「仮に道端で死ぬことになっても、いい人生だったなと悔いのない死に方をしたい」と心の底から思いました。
続いて、目の当たりにしたスウェーデンの高齢社会。将来、日本も大変なことになる。ここで現実の高齢社会を勉強しない手はないと心を決めました。一度は帰国し看護婦に復帰したものの、日本まで私を追ってきた彼と24歳で結婚し、息子を出産。スウェーデンで子育てをしながら看護婦として働き、猛勉強もした。福祉先進国で暮らしたからこそ、私の夢であった看護学の基礎ができたんです。
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