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2001/12/19
シリーズ結婚差別2 もうひとふんばり結婚差別


大阪府が2000年に実施した「同和問題実態等調査」の報告が発表されました。同和対策事業や教育・啓発によって、部落差別のさまざまな課題が改善されていく中でも、結婚差別の現状は「まだまだ厳しい」と言わざるを得ないものがあります。
しかし、まったく変化のきざしがないわけではありません。被差別部落の中から展開されてきた同和教育が、一般地域においても人権教育・啓発につながり、双方に差別を乗り越える力をつけた若者たちが増えています。長く繰り返されてきた「差別による破談」の再生産を断ち切り、幸福になろうとする若者を支援する環境が育ちつつあるのも、また事実なのです。
今回は、調査の数字をもとにひとつの物語を創作してみました。
結婚差別という強固な壁はいま、こうして崩れはじめています。


「さて・・・どうなるかな・・。」

“言ってしまった”と真弓は思った。
秘密にしているつもりはなかったけれど、言わずにいたこと。そんなことは関係ないと思っていたけれど、家族になるのなら私のすべてを知ってほしいから、告げた
「私が××に住んでいるのは知ってるよね。」
直樹は、いつになく真面目に話す真弓の横顔をのぞき込んでいる。
「あそこ、部落やねん。」
彼と向き合っていないのをいいことに、まっすぐに前を向いて、そう言った。
それでも、少し驚いているのがわかる。
やっぱり、ダメかなぁ。
「お父さんと、お母さんにはちゃんと言ってね。ウソつくのイヤやから。それでもイイって言うてほしいねん。」

ところが、直樹は意外にケロリと
なんや、そんなことか。オヤジもおふくろも気にせぇへんと思うけど・・・とりあえず伝えとくわ」と言う。(とりあえず・・って、こんなに大切なことを!無神経な男!)
友達の元カレもそうだった、いとこの恋人も、みんな結婚を申し込むときには「親は気にしない」と言って、あとで泣かされた。部落の外で、結婚差別の現実を知らずに育った彼には、これから何が始まるか分かっていないのだろう。結婚しよう、と言われたのに、素直に喜べない。
破談、駆け落ち、最悪の場合は自殺。
部落差別が関係した破談は、被差別部落に住む真弓にとって、ごくありふれたものだった。
同和教育が進んでいるといっても、結婚に関しては「必ず反対される」というトラウマのようなものがある。どんなに「部落差別はいけない」と言ったところで“嫌いなものは嫌い”と拒否する人々がいる。社会に出てみると、被差別部落や在日朝鮮人に対する“本音”にドキリとさせられることもしばしばだった。
(この結婚も“部落”というだけで切り捨てられるのではないか・・・・破談になっても私は泣いたりしないし、ましてや自殺なんて考えない。だって私は悪くないんだもの)
出自ゆえに拒否される怖さと人間としての誇りの間で真弓の心は揺れていた。

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