確かに小島さんの本を読んでいると、思いもよらないアイディアを次々と生み出される様子に、感心したり思わず笑ったりしました。ヘルパーさんをまちでスカウトする場面がありましたけど、今もスカウトされるんですか? ガールハントって言ってるんですけど、今でもまちでハントしてきたヘルパーさんが一番多いですね。 どういう人に声をかけるんですか? 動物的な勘ですね。まちを歩いていると、「この人に今、話しかけなかったら一生後悔するんじゃないか」と思うような人、いません? 要するに「また会いたいな」と思う人に声をかけるんです。年齢は10代後半から50代までと幅広いですよ。あとは具体的に言うと・・・やっぱり顔かな?(笑) 顔!? どんな顔がお好きなんですか?(笑) 自己主張ができてる顔。目を見ればわかりますね。 ・・・怖いですね。成功率はどうですか? ほとんどオーケーしてくれますよ。ガールハント以外にも友達が紹介してくれたり、講演会なんかで終わってから「お手伝いさせてください」と言ってくれる人もいます。誰にお願いするにしても、私は必ずうちに来てもらって一緒にご飯を食べることにしてます。その時にさり気なく服装チェックしたりして・・・(笑)。 ますます怖い。どこをチェックするんですか? ブランドがいいとか悪いとかということではないんです。身なりがきちんとしている人は他人の服装にも注意をしてくれるので、私の服装が少し乱れたりしたらサッと直してくれるんですよ。それから私はきちんと化粧をしてる人が好きです。化粧は自分が外に出るという自覚を表わしていると思うから、いろんなところに緊張感がある人だと判断するんです。 小島さんのように主体的にヘルパーさんを選ぶ、仕事を選ぶということができるには、日常的に「自分が選び取っていくんだ」という意識が必要ですね。でも一般的にはまだまだ「手伝ってもらえるだけありがたい」「ありがたく思うべき」という意識が、サービスを提供する側、される側の双方にあるように思います。 それは「障害」というものに対する考え方によるんじゃないでしょうか。「障害を持つ」という言い方がありますが、私は「障害を持つ」ではなく、「障害がある」だと言い続けています。持ちたくて持っているんじゃないという思いをこめて。それから、身体の機能というのは、あくまで「手段」だとも思うんですね。身体の機能が使えなくても、物や時間やさまざまな工夫によって同じことができるのであれば、「障害」とは呼べないというのが私の考えです。そういう意味で、「障害」と言われているものは、まちや環境に与えられてしまっている「生活障害」だと言い換えられると思います。 その「生活障害」をなくしていくために、建築の勉強をされているんですよね。 はい。2年前から京都造形芸術大学の通信教育で建築デザインの勉強をしてきたんですけど、今は東京の通える大学への編入を考えています。その後はアメリカかイギリスへ留学したい。向こうの大学院で学びながら、「障害」のある人たちの自立生活の実態を自分の眼で探ってアイディアを得たいのと、日本での生活と比べてどんなメリット、デメリットがあるのかを多角的に考えてみたいからです。 バラ色ですか(笑)。ところで今、恋人は? いません。今は自分に忙しい(笑)。みんなに「ナルシストだね」って言われるんだけど、自分がすごく好きなんですよ。自分を超えるぐらい好きな人が現われたらいいんですけど。 デートの時もやはりというか当然というか、トイレが最大の問題だと本に書かれていましたよね? 今度、恋人ができたら「トイレに行きたい」って言えそうですか? 我慢するような関係だと、長くは一緒にいられませんよね。確かに排泄をはじめ、いろんな問題があるけど、「障害」の有無に限らず、どんな恋愛にも何かしら問題はあるでしょう? 私は「できることが違う」と今は考えてます。一緒にいることで無理するんじゃなくて、お互い自分らしくいられるような人がいいですね。 服装チェックは?(笑) その人らしければ。でも50歳になってもジーパンが似合う人がいいな。 男性にはずいぶん甘いじゃないですか。 そうかもね(笑)。 小島さんと恋愛したら、大変だろうけど楽しそう。鍛えられそうだし(笑)。刺激に満ちたお話をいろいろありがとうございました。10年後の続編、期待してます。 |