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障害者

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2002/12/27
「いのち」そのものを脅かす障害者への差別


お互いを「宇宙(うみ)ちゃん」「遊歩(ゆうほ)」と呼び合うふたり
お互いを「宇宙(うみ)ちゃん」「遊歩(ゆうほ)」と呼び合うふたり

車いすの人を右翼が攻撃する時代

来年、娘の宇宙(うみ)ちゃんは小学校に上がるんだけど、はっきり言って、今の小学校には上げたくないですよね。

実は去年、私が住む国立市の教育委員にと市長から任命されたのですが、保守系の政党がこぞって反対。議会が流会に次ぐ流会となって市政にまで影響が出たために断念したという出来事がありました。そのうえ右翼が私の悪口を書いたビラを小学校に全校配布したりと、考えられないことがいくつもあったんです。車椅子に乗っている人間に対して右翼が中傷ビラを全校配布するなんて、ある意味ですごい時代ですよね。そこまで注目されている存在になったという見方もあるけど、保守化が進んでいる証だとも思うし、そんな教育の現場に子どもを上げたいなんて思えない。
かといって、それを声を大にして言ってしまうと、「地域の学校へ通いたい」と運動してきた障害をもつ子どもや親たちのがんばりを無にしちゃうんじゃないかという思いもあって、すごく悩んでるというのが正直なところ。
まあ、最終的には娘の決断次第ですが。たとえ「学校に行ってちょうだい」とお願いしても、彼女が不登校やホームスクリーニングという選択をする可能性も十分あるから。

子どもが大人にものを言えてこそ

「ばあば」(父方の祖母)から宇宙ちゃんへ贈られた絵手紙。「子ども扱いしないで」と言った宇宙ちゃんに対する真摯な答えが綴られている。
「ばあば」(父方の祖母)から宇宙ちゃんへ贈られた絵手紙。「子ども扱いしないで」と言った宇宙ちゃんに対する真摯な答えが綴られている。
もし彼女が小学校へ通うとしたら、学校には3つのことを言おうと思ってるの。まず「点数はつけないでください」。学 校側から点数つけられる筋合いはまったくないから、テストはいらない。ゲーム感覚で楽しめるもので、宇宙ちゃんが「やりたい」って言うならいいけど。
次に「フレックスタイムの導入」。行きたい時に行けばいいし、帰ってきたくなったら帰ってもいいという。学校ってそういうところであってほしい。お給料が出るならいいよ。給料も出ないのに、嫌なところにじっとしていなくちゃならないのはおかしいじゃない。
最後に、「通信簿の季節になったら、宇宙ちゃんが校長先生をはじめ先生たちの通信簿をつけてあげるから、喜んで見てね」ということ。
面白いでしょう? この3つができたらいい学校だよねえ。だけどこれを通すのはとんでもなく大変だよ。それだけでいじめられそうだし。
私は、子どもが大人にものを言うのは大変けっこうなことだと思うの。大人が力と立場性を嵩にきて子どもにものを言うなんて、あまりに当たり前すぎる。それじゃあ世界は何も変わらないじゃないの。
(次回へ続く)

2002年9月26日 自宅にてインタビュー

安積遊歩(あさか・ゆうほ)

1956年、福島県生まれ。生後約40日で骨形成不全症と診断される。1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。障害をもつ人の自立をサポートする<CILくにたち援助為センター>やフィリピンの貧しい子どもたちへの奨学資金援助プログラム「グループLINK」の代表。再評価カウンセリングの日本におけるエリア・リーダー。著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』(ともに太郎次郎社)、『生の技法』(共著、藤原書店)、『女に選ばれる男たち・男社会を変える』(共著、太郎次郎社)ほか。

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