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2004/12/10
障害のある人の仕事に喜びとやりがいを


障害をもつ人の仕事に喜びとやりがいを。「月給1万円」からの脱却をめざして

華やかな街、東京・銀座の一角に、街の雰囲気に溶け込んだ「スワン・カフェ」がある。ガラス張りのキッチンで手作りされるローストビーフやチキンのサンドイッチが中心のメニューに、洒落ていながらも落ち着いた店内。安らげるのは、店の雰囲気だけではない。サービスしてくれるスタッフの丁寧で細やかな対応に、気持ちが和む。カフェの隣りには「スワン・ベーカリー」があり、約40種類もの焼きたてパンを販売している。定番商品のほか、季節に応じた新作が並び、選ぶのに迷うほどだ。

ヤマト福祉財団の直営店である「スワン・カフェ銀座店」「スワン・ベーカリー銀座店」では、障害のある人とない人が一緒に働いている。しっかりと利益をあげ、経営を成り立たせている。
長い間、そして今も、障害のある人が働く場所も職種もごく限られてきた。当事者や家族、そして支える人たちも「一日を過ごす場所があるだけでもありがたい」とし、「給料」がたとえ数千円でも受け入れられてきた。ヤマト福祉財団は多くの障害者が働く小規模作業所に対し、運営の近代化と経営力の強化を提案し、働きかけている。
障害のある人の就労をめぐる実状について、ヤマト福祉財団・事務局長の早川雅人さんに伺った。

 

「居場所づくり」から始まった小規模作業所

―――給料が1万円では、障害者年金と合わせても自立生活はできません。なぜ、これほど低賃金なのでしょうか。

そもそも小規模作業所は、自立や社会参加というよりも「居場所づくり」という色合いが強かった。だから「働く」ことは二の次になってしまうんですね。また、障害のある方の支援を中心に考えているため、仕事の内容より「作業」としての意味合いが先行していることもあります。給料を支払うためには収入がなくてはなりません。しかしそもそも「収入を得る」という発想自体があまりなかったということです。

―――ヤマト福祉財団は、「障害のある人のための場所」と当事者にもスタッフにも認識されていた小規模作業所に対して、「月給1万円から脱却しよう」「そのためには消費者に目を向け、経営感覚を身につけよう」と提案されています。根本的な部分で大きな違いがありますが、そのギャップをどう埋められているのですか?

早川雅人さんの写真 ヤマト福祉財団はヤマト運輸の元社長である小倉昌男理事長が設立したことから始まりました。経営の観点から言えば、給料と言われているものが1日100円だったりする現実はとうてい納得できるものではありません。障害があっても働く喜びもつらさも感じ、働きに見合った給料をもらって余暇を楽しむ。それが本当のノーマライゼーションだいうのが小倉の考えであり、そんな社会の実現を目指すのがヤマト福祉財団の理念です。そのために小規模作業所の経営のお手伝いをしたいと考え、「小規模作業所パワーアップセミナー」を始めました。とはいっても、福祉の分野ではまったくの素人。長年にわたって作業所を運営されてこられた方たちとはずいぶん噛みあわない部分があったようです。
一方で、「このままではいけない」と考える小規模作業所が増えてきたのも事実です。たとえば「共同作業所全国連絡会・きょうされん」は早くから危機感をもっておられ、小倉理事長に作業所の実態を伝えました。それがきっかけで始まったのがパワーアップセミナーであり、「きょうされん」の協力を得ながら開催しています。
企業経営と福祉というかけ離れた分野でそれぞれやってきた者同士が、ギャップを感じながらもお互いに必要性を感じ、手を携えて少しずつ前に進んできたというところでしょうか。

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