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2004/08/27
お産の「心」と「技」を残したい


「素人」の肩書きで堂々と

・・・今年で活動11年目ですね。この10年でお産をめぐる状況は変わりましたか?

すごく変わりましたね。助産婦(師)の必要性はかなり広く知られてきたと思います。ところが一方では養成が追いついていない。今、これまで助産婦を育成してきた助産婦専門学校や短大に変わって、看護大学で育成しようという流れになってきています。こうなると、看護学生や現役看護婦が助産師になる道が狭まる一方です。今や助産師は、一部の地域、一部の大きな病院にはいても、全体としてはまったく足りていない状況が日本各地でおこっています。また、養成数だけでなく、質も問われています。看護大学では、現場での実習数が少ないことが問題となっています。WHO(世界保健機関)は「教育を受けている間に50例のお産を経験すべき」としているのに、日本は10例前後でも構わないことになっています。これは路上教習をわずかしかしないで車の免許をもらうようなもので、命がけでお産をする女性に対してとても不誠実のように思います。学生のうちに、できるだけたくさんの女性に継続して関わり、その人のお産を助ける体験をしてほしいです。学問だけでなく、お産の深さをうんと体感したうえで助産師さんになってほしいですね。医療者としての判断力と、女性に寄り添うハートを養ってほしいです。

熊手さんの写真


・・・これから産む人や助産婦(師)に対するメッセージと、今後の活動について教えてください。

これから産む人に対しては、「どんどん求めていこうよ!」と言いたいですね。「くわしく説明してほしい」「会陰切開はできるだけしたくない」「母子同室にしてほしい」「母乳を飲ませたい」とか、自分の希望を伝えましょう。1回言ってダメでも2回、3回と言い続けましょう。実際、要望を受け入れ、トライしてくれた病院はいくつもあるんですよ。それが案外うまくいくと、施設全体の考えが変わることもあるようです。
助産婦(師)に対しては、「女性の味方でいてほしい」と。伝統ある職業であることに誇りをもってほしいし、自分の手のなかにたくさんの幸せの鍵があるということをわかってほしい。
私ね、「助産婦の癒しの場」をつくりたいんです。彼女たちを見ていると、命がけの 仕事だし、朝も昼もないくらい忙しくて、ほんと”ご苦労様”って思う。妊産婦さんとの心の通 ったケアは、まず自分がその心地よさを体感していなければできないですよね。それから、助産婦 (師)自身がひとりの女性として、健康でいてほしいと強く思いますね。
私、これからも母親とか一般人という「肩書き」で、堂々と助産婦(師)さんの「応 援団」をやっていくつもりです。助産婦(師)さんがニコニコしていれば、お母さんはうれしいし、あか ちゃんもニコニコしますものね。

本の紹介

『となりのミドワイフ―お産に元気をくれる人』
さいろ社発行 1200円プラス税
※ミドワイフ(MIDWIFE)とは、助産婦のこと。
「女性とともにいる」という意味。

※購入はさいろ社
tel&fax 078-453-6796
e-mail koij@sairosha.com
HP http://www.sairosha.com

『だから日本に助産婦さんが必要です』
くまでつうしん発行 1500円(税込み)
助産婦のケアを受けてよかったこと、いやだったこと、お産を通じて得たこと、助産婦の必要性と要望など、全国から寄せられたお母さんたちからのメッセージ集

※購入は、kumade@web-reborn.com まで。

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