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2002/01/18
婚外子差別と闘う会 「夫婦別姓」と「婚外子差別」について考えよう



「選択的夫婦別姓制度」を盛り込み、民法の一部を改正する議論が高まっています。法務省が2001年11月に自民党法務部会に提出した法案は、先の臨時国会で見送りとなったものの、2002年1月21日に召集される通常国会で審議が進められそうな動きとなっているのです。“夫婦は同じ苗字”から“別姓の選択が可能”に----。これにはどんな意味があるのか、そしてどんな問題点があるのか。婚外子をとりまく状況を踏まえて考えてみたいと思います。

夫婦別姓と婚外子について考えよう


65.1%が選択的夫婦別姓に賛成

現行の民法では、結婚後は夫か妻の姓に統一するよう義務付けている。そのため、現在のところ、結婚した夫婦の97.4%は妻が夫の姓に改姓。長年使用してきた名前が変わることで、アイデンティティの喪失を感じたり、仕事上の不都合が生じるケースが多く、1980年代から別姓を求める声が高まってきていた。
通称として旧姓の使用を認める企業や自治体も増えてきたものの、運転免許証や保険証など通称を使用できない書類がいくつもあり、便宜上の手段でしかなかった。資格職で、旧姓での免許証が発行可能(ただし、戸籍名を並記)なのは、弁護士と司法書士だけ。公認会計士、税理士、建築士、教員、医師、薬剤師、保健婦、助産婦、看護婦、理容師、美容師、管理栄養士、調理師などは原則として旧姓使用の免許証は発行できないことになっている。

1996年に法制審議会が、(1)夫婦は結婚に際して同姓にするか、互いに結婚前の姓を名乗る(別姓)かを選ぶことができる、(2)別姓を選んだ夫婦は、あらかじめいずれかの姓を子どもの姓として届け出る、(3)兄弟姉妹は同一姓とする、などを柱に「婚姻制度等に関する民法改正要綱」をまとめて以来、自民党を除く与野党から民法改正案が議員立法で何度か提出されたが、自民党の「家族の一体感が薄れる」という反対で廃案を重ねてきた。しかし、2001年5月実施の内閣府・夫婦別姓に関する世論調査で、別姓賛成が65.1%で反対を大きく上回ったことを受け、改めて民法改正に向けての審議が進められようとしているもの。法務省が自民党法務部会に提示した「骨子案」は、上記(3)に関しては、「第1子の出生時(養子縁組時を含む)で結婚時の届け出とは別の姓を定めることができる」としている。
2001年5月に民主・共産・社民の3党案、 6月に公明党案が衆参両院に、11月には野党有志議員10人による議員立法案が参議院に提出され、さらに自民党有志議員11人が自民党三役に「選択制」の申し入れを行っているが、2002年1月9日に法務省は「同姓を原則とし、希望者に例外的に別姓を認める”例外制”」に転換する案を打ち出した。

非嫡出子の相続は嫡出子の2分の1

婚外子差別と闘う会つうしんの写真「夫婦別姓が可能になることは、女性の生き方の選択肢を広げるという意味では一歩前進だとは思います。しかし、婚外子の人権がなおざりにされたのが大いに不満。別姓が認められ、婚姻届を出す人が増えることにより、婚外子や事実婚を選択した人たちが暮らしにくくなることを危惧します」
こう話すのは、婚外子差別と闘う会メンバー大田季子さん。婚姻届を出した男女の間に生まれた子(嫡出子・ちゃくしゅつし)は出生届・戸籍の続柄欄に「長女(長男)、二女(二男)・・」と記載されるが、出さない男女の間に生まれた子(非嫡出子)は、出生届と戸籍の続柄欄に「女」「男」と記載される。これを元にした非嫡出子すなわち婚外子への社会的な差別がまかり通っているばかりか、民法第900条には法定相続にあたって非嫡出子は嫡出子の2分の1と規定されており、野党案には「2分の1」から「同一」への改正が盛り込まれているものの、自民党案、法務省案はこれには触れていない。

たとえば――。結婚した時「姓を変えたくない」と事実婚を選んだ女性が、妊娠した。出産を前に、「このままではわが子が非嫡出子になる」と悩み、「生まれてくる子どものために」と婚姻届を出す。そして、「別姓が制度化されていれば、こんなことで悩むこともなかったのに」と思う。
あるいは――。選択的夫婦別姓が制度化され、事実婚から別姓の法律婚に移行した女性が出産。彼女が産んだ子は嫡出子となる。「制度化されないと、わが子がかわいそうなことに非嫡出子になるところだった。無事に嫡出子となり、よかった」と思う。

いずれも、一見、選択的夫婦別姓の制度化を歓迎する声だと解釈できる。しかし、その背後に「自分たちは実際上、同姓夫婦と同じなのだから、子どもは嫡出子として扱われるべきである。そうでない場合の非嫡出子は仕方がない」とする考えが読み取れないだろうか。その背景には、男性とカップルになる女性が“上”、シングルの女性が“下”といった意識はないだろうか。

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