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2002/03/02
「男の世界」に飛び込んで 体力のハンディはあるけれど


シリーズ「ジェンダーフリー・パーソン」その4 航海士

「男の世界」として歴史を刻んできた海運業界にも、女性が進出しています。大型フェリーに乗船する太平洋フェリー三等航海士の懸田麻衣子さん(26)もその1人。「国家資格に性差はないが、体力の差はある」と実感するという懸田さんに、自身の来し方と仕事ぶりなどを語っていただきます。

懸田麻衣子さん フェリーの外観
男の世界に飛び込んで

いざという時に「力」がモノをいう

「男の世界に入っていくのは難しいのではないか」
進路を決めるにあたって、航海士になれる学校に行きたいと言った高校3年の時、父にこう言われました。でも、小学生の時に家族旅行で東京から父島に行く船で見た「白いセーラーさん」に憧れて以来、絶対に航海士になると決めていた私は、迷うことなくこの世界への一歩を踏み出しました。進んだのは、静岡県清水市にある東海大学水産学部航海工学科。1学年20人で、みんな同じ目標を持った者ばかりなので、家族のような雰囲気。前年まで1人か2人だったという女性も、私の学年は4人いて、最初のうちはさほど性差を意識することはありませんでした。

羅針盤の写真 ところが、3、4年生になり練習船で海洋実習に出るようになると、やっぱり海は男の世界なんだと思った。というのは、いざと言う時に力がモノを言う世界だ、体力の差はハンディキャップだと分かったんです。
たとえば、2000トン弱の船で2カ月ほど南太平洋に実習に出た時。日本のように整備されていない港に入港する時、船体を傷つけないように、船の上からロープ状のクッションを岸壁との間に投下して大急ぎで引っ張らなくてはならないのですが、これがものすごく重たくて、いくら頑張っても男性なみに出来ない。女性の乗組員がいることにより、否応なしに周りの男性に負担をかけるわけです。船の中で力仕事は多いので、体力的な男女差を男性女性ともに了解しない中で「平等」はあり得ないと思ったんです。

男女の差といえば、海外の町に入港後の自由時間の過ごし方にも差を感じました。男性は集団で動くのが好きでしたが、女性はみな個人で動くのが好きで、必要以上に他人に干渉されたくないというタイプばかりだった。そんな性格は単なる偶然だと思えず、男の世界に飛び込んでいこうとする女性の共通項かもと思ったものです。

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