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2002/10/11
児童扶養手当 シングルマザーの現実


所得の低い母子家庭に支給される児童扶養手当の制度改定が行われ、8月から支給額が削減されました。「離婚の増加などにより、財政確保が難しいため」(厚生労働省)がその理由とされますが、シングルマザーが仕事と家事・育児を両立するのは困難が多いのが現状です。申請書類の様式が変更されたことにより、プライバシーの観点からも物議をかもしました。
これは、厚生労働省の「児童扶養手当関連予算を自立支援策に重点を置く」という方針転換のもとに、先の通常国会で手当・養育費に関する政令が改定・公布されたことによるもの。自立支援策に関する母子及び寡婦福祉法の改正は継続審議となり、10月18日から始まる臨時国会へ回されました。
シングルマザーが暮らしやすい世の中は、皆が暮らしやすい世の中ですから、この問題は母子家庭当事者だけの問題ではありません。一緒に考えてみませんか。

児童扶養手当対シングルマザーの現実

 

受給世帯の45%が手当減額に

各都道府県の窓口で「児童扶養手当受給者のしおり」が配布されている
各都道府県の窓口で「児童扶養手当受給者のしおり」が配布されている

児童扶養手当の支給額は7月まで、母子2人世帯で年収204万8000円未満が月4万2370円(全部支給)、300万円未満が月2万8350円(一部支給)の2本立てだったが、8月から全部支給が年収130万未満、一部支給は365万円未満までとなり、支給額が所得に応じて4万2360円から1万円までの10円刻みの額と変更された。これにより、受給世帯の45%が減額される見通しだ。所得基準に関しては、寡婦控除が廃止されるとともに、これまで母親の収入とは無関係だった父親からの養育費(8割)も加算されることになった。この制度改定は、離婚が増えたことなどにともなう事業費の増加を抑制するためのもので、2001年度に2639億円だった支給総額が、改定により約2億円の減少になると試算されている。

「会社の業績不振で、6月に給料を下げられたのに、児童扶養手当も減額された。どうやって、やりくりをしていけというのか」
千葉県内で小学5年生の子と2人暮らしをする、水道設備会社社員の木村美奈さん(39=仮名)は憤る。子どもが1歳だった10年前に離婚、飲食店のパート店員などを点々とした後、6年前に念願の正社員職を得て、「零細企業で休めないから、子どもの授業参観もPTA行事もほとんど欠席」して、日曜日以外ほぼ無休で働いてきた。
手取り月収が、16万8000円から16万3000円に減ったばかりだ。家賃7万円。元夫からの養育費が途絶えて5年。児童扶養手当があるからこそ、生活が成り立ってきたという。ところが、制度改定により約7000円の減額となった。「給料が上がることが期待できないばかりか、首を切られる不安もある」という今、家賃の安いアパートに引越すしかないと不動産屋を回っているが、やっと見つけた物件が母子家庭を理由に断られたと頭を抱える。

大阪府内で6歳と3歳の子と暮らす吉井るみさん(33=仮名)は、古本とCDを販売するチェーン店にパート勤務する。約15万5000円の月収と児童扶養手当で生活をやりくりしてきた。
時間給の高い夜間にも働きたいが、保育所に預けている子どもたちを迎えに行くため、遅くとも5時半にはタイムカードを押さなくてはならず、収入増は見込めない。ここにきて児童扶養手当は約5000円減額される。別れた夫と「月5万円」と取り決めていたの養育費が最後に振り込まれたのは、1年以上前。行方が分からなくなったので、取り立てもできない。
「自転車の前と後ろに子どもたちを乗せ、途中で買い物をして帰宅。一人で家事、育児をしていると、“体力の限界”だと感じることもある。もっと高収入の職場を探したいが、その時間も気力もない」

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