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ジェンダー

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2003/11/07
リストラは「組織の殻を脱ぐ」それだけのこと


絵との出会いなおし

「まかせなさい」よしおかとしみ・作
「まかせなさい」よしおかとしみ・作

時間ができたら、もっと好きなことができる。そう思ってはいたものの、実際に自由な時間を手にすると自分の「好きなこと」が何なのかわからない。仕事以外に夢中になれるものが本当にあるのだろうか。俊介さんの模索は続いていた。
助け船を出したのは美奈子さんだった。
「何が好きなのか分からないときは、子どもの頃好きだったことに戻っていくのがいちばんいいの。誰かに強制されたことは続かないけれど、自分が本当に好きで選んだことは飽きないから」
結婚以降「じぶん探し」を続けていた美奈子さんが、「おはなしおばさん」になるきっかけをあたえて下さった方がそう教えてくれた。
美奈子さん自身、人前で演じて喜んでもらうことが大好きな子どもだった。絵本の世界も大好きだった。「おはなしおばさん」は美奈子さんの、ふたつの「だいすきなこと」がひとつになった。
「だから、続いているのよねぇ」
夫の転勤で、どんな地に行っても美奈子さんは一人で「おはなしの種」を蒔き、仲間と友人をつくってきた。そんな経験を、夫にもしてもらいたいと思った。
そして何より、癒されてほしい。癒しの中からじぶんを発見してほしい。当時の美奈子さんにとって、そのことがいちばん大切だった。

吉岡俊介さん・美奈子さん「子どもの頃、好きだったことは何?」
「絵・・・かなぁ。漫画家にあこがれたこともあった」
「じゃぁ、絵をやってみたら」
鉄腕アトムをリアルタイムで見た、手塚治虫世代。漫画家にあこがれる子どもも多かった。しかし一方で男の子は外で遊ぶもの、絵は女々しい、と意識は運動場の方に向けさせれられていた。
「・・・どうかなぁ」
ところが、白い紙に向かうと夢中になった。
「一日中、疲れもせず、飽きもせず、描いていましたね。これで仕事をしようとか、そんなことじゃなくて、描くことで本当に癒されていくのがわかりました」
何時間も、何日も、絵を描きつづけていた。
「そんなふうに変わっていくと、いろいろな偶然が重なるんです」
ある日、まったく別の用事で大阪に出たとき、道に迷って偶然立ち寄ったドーンセンターで「ジェンダーフリー絵本募集」のチラシを手にする。
ジェンダーフリーも、絵本も美奈子さんが大切にしてきた世界だ。二人でストーリーを考え、美奈子さんは言葉を、俊介さんは、絵を担当する。こうして創り出された、はじめての絵本『まかせなさい!』が、大阪府や豊中市などが主催する「男女共同参画社会実現のための絵本コンテスト」で佳作入選を果たした。

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