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2004/03/03
仕事をつくって自立を支援~ホームレス自立支援の新しい試み~


「ビッグイシュー、いかがですか?」。絶えることなく人が行き交う、駅周辺やビジネス街。その流れを邪魔せぬよう、けれども存在をアピールするかのような力強い声で呼びかける人たちがいる。2003年9月に大阪で創刊された雑誌、『ビッグイシュー』の販売員である。彼らに共通しているのは「ホームレス」であること。仕事や住む家、そして家族を失ったホームレスの人たちの自立を支援するために生まれた『ビッグイシュー』が示す、新しい支援の形とは?

仕事をつくって自立を支援 ホームレス自立支援の新しい試み

全世界で2600万部発行のストリート・ペーパー

『ビッグイシュー』の正式名称は、『ビッグイシュー日本版』。発祥の地はイギリスである。1991年、路上で違法行為をしながら生活するホームレスの姿に危機感を抱いたA・ジョン・バードがアイディアを出し、共感した化粧品会社が資金を提供したのが始まりだった。この「社会的危機に対処するための現実的な解決策」によって多くのホームレスが社会生活復帰への足がかりを得、活動は世界中に広まった。2003年9月現在、ホームレスの人しか販売できないストリート・ペーパーの年間発行部数は全世界で2,600万部に及ぶという。
日本版の編集長、水越洋子さんが『ビッグイシュー』の存在を知ったのは2002年。月刊誌の特集の最後にわずか4行ほどでサラッと紹介している記事に目がとまった。「わあ、面白そう」。ちょうど所属しているNPOでホームレス問題を学んでいた。もっとくわしく知りたいと資料や情報をあたったが見つからない。イギリスでの創刊から10年以上が経ち、世界中に広まっている活動が、なぜか日本ではきちんと紹介されていなかった。「これはもう自分が行くしかない」。1ヵ月後には本部のあるスコットランドの土を踏んでいた。

ビジネスの手法を取り入れた社会事業

イギリスのビッグイシュー「実物を見たのは初めてでしたが、立派な雑誌であることに驚きましたし、ビジネスの手法を取り入れて社会事業をやるという仕組みもとても面白いと感じました。イギリスでは今、4誌があり、あわせて週に24、5万部も出ているんです。それほどメジャーな雑誌になっているということに加えて、街頭で販売しているホームレスの人たちがとてもさわやかだったのも印象的でした。“サンキュー”はもちろんですが、“よい一日を!”“神の祝福を!”と一言付け加えたりして、とっても感じがいいんですね。街に溶け込んでいる様子を目にして、こういう仕組みをホームレスの人が増え続けている大阪でつくれたらいいなあと思ったんです」。本部は日本で発行するよう勧めるだけでなく、快く支援を約束してくれた。帰国した水越さんは、NPOの仲間や友人発行準備会を立ち上げた。そしてあちこちに相談や協力をもちかけたが、返ってきた反応の大半は厳しいものだった。

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