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2008/09/22
改正戸籍法施行を機に考える「戸籍と人権」


戸籍制度を考える

2008年5月1日、「改正戸籍法」が施行された。「誰でも戸籍謄抄本等の交付請求ができる」という従来の戸籍の公開原則が改められ、第三者が戸籍謄抄本等の交付請求ができる場合が制限されたなど、大きな前進だ。
この改正の背景には、他人の戸籍謄抄本等を第三者が不正に取得する事件が多発していることがある。不正取得した戸籍謄抄本等は本人の知らないところで売買され、虚偽の婚姻や養子縁組に使用され、消費者金融からの借り入れなど金銭トラブルに発展する例も少なくない。
改正戸籍法により、そんな「戸籍の不正取得事件」はなくなるのだろうか。改善されたこと、改善されなかったことは何か。戸籍制度の経緯、今後のあり方を含め、立命館大学法学部教授の二宮周平さんに聞いた。


「自己責任」という考え方が社会的無責任を生み出す

――2008年5月に施行された「改正戸籍法」。どのような点が改正されたのか、まず教えてください。

一つは、戸籍窓口で、第三者や弁護士、司法書士など有資格者が他人の戸籍謄抄本を請求する際に、厳しい制限を設けたこと。もう一つは、婚姻や養子縁組の届出の際と、戸籍謄抄本の交付を請求する際に、本人確認が必要になったこと。そして、さらに、不正取得した人たちへの制裁が強化されたこと。ポイントとしてはこの3点です。

――一つずつ詳しく教えてください。まず、「戸籍窓口で、第三者や有資格者が他人の戸籍謄抄本を請求する際の制限」というのは?

従来は、国・地方公共団体・特定の法人の役員・職員のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士の8つの資格を有する者が請求する場合は、「職務上請求用紙」に「裁判」「相続」「財産分与」などと事由を簡単に記すだけで請求できたのですが、今回の改正で、依頼された人の名前のほか、依頼された人自身について、その人の権利を行使したり、義務を履行するために他人の戸籍の記載事項の確認を必要とする理由、国や公的機関に他人の戸籍謄本を提出しなければならない理由、他人の戸籍の記載事項を利用する正当な理由のいずれかを明らかにすることが必要になりました。しかし、今回の改正でも、本人、その配偶者、直系の親族が請求する場合は、請求事由を明示する必要はありません。

――次に、「婚姻や養子縁組の届出の際と、戸籍謄抄本の交付を請求する際に、本人確認が必要になった」というのは?

養子縁組、協議離縁、婚姻、協議離婚、認知の5つの届出、および戸籍謄抄本を請求する際に、戸籍の窓口で、運転免許証、写真つき住民基本台帳カードなどの書類を提示して「本人確認」をすることになりました。

――不正取得した人たちへの制裁も、強化されたのですね。

はい。これまで「5万円以下の過料」だったのが、「30万円以下の罰金」すなわち罰金という刑罰を受けることに変更になり、不正取得を頼んだ人たちも共犯者として同様に刑罰が処されるようになりました。つまり、従来の「過料」が請求した有資格者どまりであったのに対し、有資格者のみならず、有資格者に頼んだ人も「罰金刑」となるのです。罰金刑にした意義は大きいと思います。

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