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生活保護制度は私たちの「生きる権利」です 雨宮処凜さん

2013/05/02


どんな状況になっても生きられる方法を共有していく

雨宮処凜さん

――貧困が「普通」になりつつある社会ですが、できるだけ希望をもって生きていきたいです。雨宮さんは今後にどんな希望や展望をもっていますか?

『14歳からの生活保護』を書くきっかけになったのが、自分と年が変わらない姉妹の孤立死事件でした。失業し、生活保護の相談に役所に3度も訪れていたお姉さんが病死し、そのあとに知的障害のある妹さんが餓死してしまった。出身地も同じ北海道で、お姉さんは高卒でフリーターでと私の経歴と重なる部分が多くて他人事とは思えなかった。私みたいな人間がこうして死んでもおかしくない社会なんだとショックでした。だから仕事がなくなっても病気になっても生きていける方法と情報を集めておこうと。まあ、自分が死にたくないからということなんですけど。
 そのなかでの希望は、一方で人の命や生活をなんとか支えたいとボランティアで支援している人が意外とたくさんいることですね。自分には何の得にもならないし、逆にいやな目に遭うほうが多いぐらいなのに。最初は宗教か、何かの病気かと思ったんですけど(笑)、「こういう社会はイヤだ」という彼らの動機はすごく理解できたし、自分もそう思うなら意思表示していくべきだと思いました。
 その人固有の悩みや心の問題は私では解決できないけど、悩んだり死にたいと思っている原因が労働やお金の問題なら、制度や情報を紹介したり一緒に考えたりすることができます。SOSを受け止められる人でありたいし、自分も困った時には助けを求められるようにしたいですね。そうやって支え合うつながりを広げていくことに希望をもっています。

――ありがとうございました。

(2013年3月インタビュー 取材・構成/社納葉子)

『14歳からわかる生活保護』雨宮処凛著

雨宮処凜(あまみや・かりん)プロフィール
1975年生まれ。作家・活動家。 若者の「生きづらさ」、貧困、原発問題に関する取材、執筆を 重ねつつ、運動にも積極的に参加している。「反貧困ネットワーク」 副代表、『週刊金曜日』編集委員、『フリーター全般労働組合』組合員。『小心者的幸福論』(ポプラ社)、『14歳からの原発問題』など著書多数。