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2015/06/25
食品ロスを「生きる力」に活かす ふーどばんくOSAKA


フードバンク活動に共鳴してボランティア・スタッフに

――配送を担うのはボランティアスタッフということですが......

田原 そうです。自主的に希望して来ていただいた方たちばかりで、現在は阪木さん、高嶋さん、西島さんの3人です。また、毎月第2・4土曜日にはボランティアデイを開催しているのですが、口コミで30~40人は参加いただいています。

 ボランティアさんの励みになるのは、やはり配送先の皆さんからの喜んでいただく声だと思います。希望の食品を待たれていて「あのパン美味しかったです」「ありがとうございます!」と声がけしてもらうと、やり甲斐につながるんですね。お届けした食品でこんなものを作りましたとか伝えていただいたり、児童施設の子どもたちの入学写真を送ってくださったりしています。

――みなさんがボランティアを始められたきっかけは?

ボランティアのみなさん

阪木 私は会社を経営しているのですが、これまで10年間地元の堺市でNPOをつくり、ボランティア活動をしてきました。まず川や道路の美化活動から始めたんですが、それが地区全体に広がり、行政も動き出して活性化につながっていきました。

 今、自分のことしか考えない人が多い中で、世の中を変えようと思ったら、誰かが活動を始めなければよくならない。自分さえ良ければ、金儲けさえできればという考え方が主流ではおかしいと思うんです。

 こちらの活動は、昨秋、テレビ番組でフードバンク活動を観たのがきっかけで、本当に意義のある活動だと思い、すぐに連絡して翌日から参加しています。今、会社は若い者に任していて時間的に余裕があるので、何か社会に貢献できればという想いだけで、週に3~4回活動しています。今の日本で食べ物に困っている子どもがいるというのが一番辛いし、今後は個人で困ってる方、緊急に支援が必要な人のお手伝いをしていきたいと思っています。

高嶋 3年前に新聞でフードバンクの記事を見て関心をもちました。当時、すでに活動していた芦屋のフードバンク関西の様子を見に行ったりもしましたが、距離的に無理だなあと残念に思っていたところ、2年前に堺にもフードバンクができて、すぐに登録しました。現在、週に1回配送をしています。他にも、4年前から富田林市の社協で週に1回独居の方にお弁当を配送するボランティアもしています。人様のためにとか大げさなことは考えず、自分の自由な時間でお役に立てればという気持ちでやっています。

 毎回、大型量販店に集合して仕分けをして配送するという段取りで、1日トータル3~4時間ですね。余った食品を捨てるのは見るに忍びないことだし、それを困ってる方にお届けする、フードバンク活動は絶妙なマッチングだなあと思っています。

西島 2年前まで政府の中小企業対策の技術支援で各地を回ってたんですが、中止になりましてね。何かボランティア活動をしたくて、高齢やから無理だと言われたけれども始めました。高齢になっても後退するのではなく、健康維持のためにも前に出ることが大切だと思っています。配送をやってて少し不満なのは活気がないこと。もっとこの活動が世間に知られていってほしいですね。

阪木 定年退職された方などは自由な時間があると思いますので、車をお持ちの方はぜひボランティアに参加していただきたい。きっと楽しい時間を過ごせるでしょうし、人の役に立つことは自分の人生の喜びにつながると思います。私自身、今まで生きてこられたのは社会のお世話になってこそ。活動はその恩返しです。

配送先から届けられる「ありがとう」の声
foodbank4.jpg「素直に嬉しく思います」と語るのは、みおつくし福祉会・母子生活支援施設「東さくら園」の施設長・廣瀬みどりさん。母子生活支援施設とは、18歳未満の子どもを養育する母子家庭の生活自立を支援する施設で、ふーどばんくOSAKAからは、主に冷凍コロッケやトンカツ、ジュース、チーズ、コーヒー、ミンチ肉、冷凍パンなどの日常食品が定期的に配送されている。
 食品は入所者だけではなく、退所した人たちにも配布されていて、事前に必要な種類や数量を確認して配送するため、受け渡しのロスもなく、スムーズに行われている様子。食費のサポートになっていることは間違いないようだ。
 子どもたちが放課後過ごす学童保育では、みんなで一緒に食べる喜びを知る機会が増え、笑顔が広がっているそう。一般的な食品も、たとえばスパム(ミート缶)はスパムおにぎりに、冷凍パンはガーリックトーストにとオリジナルメニューとなって、子どもたちの旺盛な食欲と感性を満たしている。また、寿司ネタが入っていれば、お寿司屋さんごっこをするなど、食材を通して子どもたちの自主性や主体性を育むきかっけづくりになっていると感謝の声も。
 実際に食品を届けてもらう配送ボランティアに興味を持ち、ボランティア体験デーに参加した入所者(中3男子)もいて、食品だけではなく人とのつながりもできつつある。スタッフの一人は「経済大国といわれる日本で、多くの食品ロスが廃棄される一方でその日の食事に事欠く人々がいるという矛盾を職業柄、日々感じる」と話している。

――最後に今後の課題を聞かせてください。

田原 課題は、運営費の確保ですね。フードバンク活動は利益や収益をあげることができないので、活動資金としては会員や賛助会員の年会費や寄付、募金などで運営しています。しかし、この活動自体がまだまだ知られていないため、今後は会員を増やすと同時に、各企業に理解いただいて寄付を募っていく取り組みをやっていけかなければと考えています。

 また、今後は個人支援を進めていきたいのですが、個人向けの商品がなかなか集められないのが現状で、安定して保管できる食品を確保していきたいと思っています。個人の方でもご連絡いただければ、大阪府内ならどこへでも受取りにまいります。

 組織的には、今後も食品の提供企業と受取り手である配送先のみなさん両者を結ぶ架け橋となって、食品ロスを「生きる力」に活かす活動、社会福祉の増進を図っていきたいと考えています。みなさまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

(2015年4月インタビュー 取材・構成/上村悦子)

問い合わせ先/「ふーどばんくOSAKA」
〒599-8101
大阪府堺市八下町1-122 大阪食品流通センター内
TEL/072-258-2201

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