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多民族共生

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2004/07/23
移住連 共住懇の取り組み 外国人と「共に生きる」社会をめざして


多くの日本人にとって、外国人といえば文字通り「よその国の人」だろう。しかし実際には200万人を超す外国人が日本で生活しており、その数は現在も増え続けている。外国人労働者を支援するグループや個人で構成されるネットワーク団体「移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」によると、約200万人のうち、およそ150万人が1980年代以降に来日した人々だという。また、200万人のうちにはオーバーステイ(超過滞在)、つまり公的には滞在が認められていない人が少なくとも22万人いるといわれている。
実感はなくとも、すでに日本には多くの外国人が住み、働いている。彼らはどんな仕事をし、生活しているのだろうか。

外国人と「共に生きる」社会をめざして


「南北」の格差拡大とともに増えてきた移住労働者

1980年代以降に来日し、働いている外国人は「移住労働者」、就労していない人を含めて「移住外国人(ニューカマ―)」と呼ばれる。1980年代は世界中でグローバル化が始まり、人の行き来が盛んになった。「先進国」の企業が土地や労働力の安い国に競って進出する一方、進出による環境破壊や生活変化によって従来の暮らしが立ちゆかなくなった国の人々は「先進国」に仕事や希望を求めた。「北」の先進国と「南」の国々との経済格差による「南北問題」が、あらゆる技術の発達によってさらに拡大したのである。日本では、1980年代の円高とそれに続く好景気を背景に、「経済大国・ニッポン」を目指す移住労働者が増えてきた。一方で日本側にも、いわゆる3K(きつい、きたない、きけん)の仕事を敬遠する日本人や、移住労働者を期間限定の安い労働力ととらえる事業主など、受け入れの土壌があった。

移住連は、1980年代後半から移住労働者問題に目を向け、支援をしてきた人たちによって、1997年に設立された。社会的に非常に弱い立場に置かれている移住労働者の人権を守るには、個人のやる気に頼るだけでなく、窓口的な機能をもつ事務局と社会の仕組みそのものを変えるための提言活動が不可欠だという認識からである。現在は85の団体が加盟し、個人で加盟している人もいる。事務局スタッフの矢野まなみさんに話を聞いた。
「活動の柱は3つあります。まずは、社会や法律の仕組みを変えていくための提言活動を恒常的に行っていくこと。そのために全国の人たちの知恵と力をつないでいくネットワークづくり。さらに、今できることや起きていることを情報発信していくこと、です」
各団体が受ける相談の内容は多岐にわたる。「それこそ移住労働者に限らず、人が生きていくうえでぶつかるさまざまな問題すべて、といってもいいぐらいです。ただ、時代の流れや法律の改定によって新たに浮かび上がってきた問題もあります」。


明確なスタンスがない日本政府

たとえば1999年に改定された出入国管理及び難民認定法(入管法)。オーバーステイのために強制帰国させられた外国人は、再入国への手続きを一定期間の間、することができない(これはあくまで手続きを始められるという意味であり、実際に再入国できる保障はまったくない)。以前はその期間が1年であったのが、改定によって5年に延びたのである(現在、さらに10年に延長するという改定案が国会で審議されている)。
「一番問題なのは、国際結婚をしている人たちです。もちろん1年でも問題ですが、5年も日本で暮らせないとなると、家族は崩壊してしまいます」。この時、移住連では大々的なロビー活動を展開したが、叶わなかった。国会議員からは「入管法に問題があるのはわかったが、具体的にどう動けばいいのか」と問い返された。2年かけてまとめた政策提言も、感心されるばかり。「要するに今の日本には、外国人に関してひとつの考えに基づいて施策を組み立てていく総合的な省庁なり部局なりがないということなんですね。包括的な施策がないなかで労災やDVといった個別の問題を各省庁で対応していると、外国人が根本的に抱えている問題部分がすっぽりと抜けてしまいます。また、移住連として政策提言をしても、参考程度でしか受け止めてもらえません。そこで今は、提言を具体化するための窓口づくりを目指しています」。

政府自体に移住外国人に対する明確なスタンスがないということが、外国人の人権を脅かしている。たとえば日本への入国や就労は入管法によって非常に厳しく制限されており、3Kの仕事に就くことは建前上、できない。しかし実際には外国人はそういった社会を下支えしている産業で働いている。にもかかわらず、「入管法に違反している」ということで弱い立場に追いやられ、安い賃金で働くというリスクを負う。また、研修生として日本で高度な技術を学ぶという名目で来日したにもかかわらず、3Kの職場でサービス残業を強いられるというケースもある。また、日本人の夫からDVを受けても、「日本人の配偶者等」という在留資格を失うことが怖くて離婚できないという外国人女性もいる。「無理せずに、自分の国へ帰ればいいじゃないか」という意見もあるかもしれない。しかし、母国に仕事がない、扶養しなくてはならない家族がいる、あるいは何年も日本で暮らして生活の基盤ができているなど、さまざまな事情がある。安く使えるだけ使って、都合が悪くなれば「帰れ」というのは通用しない。

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