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特集



基本編:部落差別って、なんですか?

2007/09/28


   
   
部落だけが特別扱いをうけ、
よくなってきたことにはどうも納得できません。

~差別解消のための是正策はさまざま。
部落だけにあるものではありません~

差別を受けている人びとへの特別な政策は、世界的にみられるもので、アメリカ合衆国の【アファーマティブ・アクション】、インドの【リザーベーション・システム】などがあげられます。

日本でも、同和対策事業のほかに【男女雇用機会均等法】【障害者基本法】など差別解消のための法律が制定されており、それにもとづく施策が行われています。
こうした施策の背景には、差別をなくして真の平等を実現するには、法の下の平等を形式的にうたうだけではなく、個々の違いに応じた待遇改善を保障する実質的な平等のための施策が必要である、という考え方があります。
しかし他方で、これらの是正策にたいする強い反発が起きていることも共通します。施策の対象となる人びとへの差別意識がそれらの背景として考えられますが、このような反動が格差拡大のなかで社会政策の水準向上をさまたげる力となっていることについては、十分注意がはらわれるべきでしょう。
日本国憲法は差別を否定するだけでなく、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています(第25条)。しかし戦後復興から高度経済成長にむかう日本社会で、部落は周辺地域と比べて極端に劣悪な住環境のままでした。歴史的に不利な立地を強いられてきたことに加えて、差別のために就職もむずかしく、生活も安定しませんでした。そうしたなかで、貧しさは差別を生む理由のひとつとなっていました。
この実態を放置してきた行政の責任を追及する部落解放運動がひろがるとともに、その主張を支持する世論がたかまりました。そして【同和対策審議会答申】(1965年)が出されると、これをうけた一連の法律が定められ、同和地区指定をうけた部落において環境改善をはじめ生活水準の底上げがすすめられました。あきらかな格差を埋めるための同和対策事業には社会的な了解があり、これによって貧困と差別の悪循環を断ち切ることがめざされたのです。
この施策は時限立法として制定されたもので、2002(平成14)年に終結しました。ただし、社会矛盾の集約としての部落問題の性格は積みのこされています(Q12参照)。