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2011/10/17
偏見に苦しむ性的マイノリティー


記者の目:偏見に苦しむ性的マイノリティー=中川紗矢子

「レインボーマーチ」という催しがある。性的マイノリティーとされるLGBTの人と支援者が、その存在を知ってもらい、共生できる社会の実現を呼 び掛けるパレードだ。札幌市は、おおらかな土地柄もあるのだろう、9月18日のパレードで15回目を迎え、全国で最多を数える。

◇「多様な性は自然」の認識共有を

参加者がどんな生活を送っているのか知りたくて、2月に北海道紙面で「レインボーマーチが聞こえる 性的マイノリティーの日常」を計9回連載した。彼らの人間的魅力と同時に、LGBTが抱える深刻な生きづらさと、背景にある社会の無理解を知った。

同性愛者などは、どんな時代、どんな地域にも、一定の割合で存在している。それは育成環境や趣味嗜好(しこう)の問題ではなく、生まれついての自然なものだ。

◇結婚・財産など不当な扱い多く

だが、日本の法や制度は、こうした性的指向の存在を前提としていない。結婚が認められない結果、財産の共有や遺産の相続など配偶者なら得られる権 利が与えられず、公営住宅入居やパートナーが集中治療室に入った際の面会などで不当に扱われることがある。何よりの問題は、存在を否定するような認識や仕 組みの中で当人も自身を肯定できなくなる場合が多いことだ。

宝塚大看護学部の日高庸晴准教授(医療行動科学)が01年に大阪市の繁華街で若者約2100人を調査したところ、「異性愛者ではない」と答えた男 性の自殺未遂率は、「異性愛者」と答えた男性の約6倍に上った。05年のインターネット調査(有効回答約5700人)では、ゲイやバイセクシュアルの男性 の66%は自殺を考えたことがある。取材したゲイ男性のほとんども、ゲイなど身近な人を自殺で失った経験がある。

特に危険なのが思春期。日高准教授の別の調査(99年)では、ゲイやバイセクシュアル男性が最初に自殺を図った年齢の平均は17・7歳、自尊感情 も10代が最も低かった。カミングアウトしても親子関係が破綻するなど、ストレスや葛藤でうつ病などを発症するリスクも高いとみられる。

自身もゲイであることを公表し、LGBTに対応した医療で知られる「しらかば診療所」(東京都新宿区)で心理カウンセリングなどを担当する平田俊 明医師は「世の中が同性愛者を『いないもの』として動いているため、自分が必要とされる感覚が弱い人が多い。人を好きになることや性といった人間の本質的 部分が偏見の対象になっているので、アイデンティティーへの影響も大きい」と指摘する。

同性愛者への嫌悪感を「ホモフォビア」といい、同性愛者ら自身もこうした感情を持っていて、自己肯定感を持てない原因にもなっている。このホモ フォビアを培う大きな要因が、教育とメディアだ。教員が同性愛者らに偏見を持つ発言をしたり、テレビのバラエティー番組でゲイをあざけりの対象とするのを 見ることが当事者に深い傷を残す。

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毎日新聞

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