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2011/12/27
均等法25年:わたしたちはいま


上 家庭との両立に残業の壁

男女雇用機会均等法が施行されて25年。働く女性が増えた一方で、長時間労働を避けられず、家事や育児に追われる中で、仕事と家庭の両立を諦めてしまう人はいまも多い。女性の働き方と職場の現実をみた。【山崎友記子、田村佳子、榊真理子】

◇出産で6割退職「家族のため」「職場に迷惑」

仕事は好きだったけど、家庭を犠牲にしてまでは--。東京都内に住む知美さん(30)=仮名=は昨年7月、4年間勤めた情報サービス系の会社を退職した。会社員の男性(32)と結婚した5カ月後だった。

職場には30代以上で独身の女性が多く、午後9時前に退社する人はほとんどいなかった。結婚していても「平日はご飯は作らない」という先輩、子どもがいても「夕食は保育園で食べさせてくれるから」と残業する女性社員もいた。知美さんには「カルチャーショック」だった。

子どものころ、母親はパートで働いていたが、必ず子どもたちより先に帰宅し夕食を作っていた。学生時代は「総合職でバリバリ働きたい」と思い、就 職後も忙しいのは苦ではなかった。出版物の広報を担当し、やりがいも感じたが、「自分はそうまでして働きたいだろうか」との疑念が晴れず、結局仕事を断念 した。

「子育てにはお金がかかるしマイホームもほしい」。今年4月に長男を出産した知美さんは、再び働くことも考え始めている。「正社員のまま働いていた方が良かったかな」とも考えるが、「今度働く時は自分の生きがいのためでなく、家族のため」という。

90年代以降、下がり続けていた専業主婦志向の割合が、若い世代を中心に上向いている。国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」 (08年)によると、「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」と考える既婚女性の割合が増加に転じた。特に29歳以下は48%と、03年の前回調査よ り12ポイント増。50代(42%)より高かった。

NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長で元東大教授の上野千鶴子さんは「上の世代の女性が苦労しているのを見ているから、結婚も仕事も要求されたら『やってられない』という感覚が若い女性一般にある」とみる。

美希さん(38)=仮名=が10年以上勤めた会社を辞めたのも、仕事と家庭を両立できない、と思ったからだ。

96年に大学を卒業後、情報通信関係の企業に就職。入社7年目に東京の本社にある希望の部署に配属され、大きなプロジェクトを次々と担当した。会社員の男性(39)と結婚し、公私ともに充実していた。

一方で、子どもが欲しいという気持ちも膨らんでいった。現実には長期の仕事を任されるたび、「周りに迷惑をかけたくない」と妊娠しないように気を つけた。出張や深夜業務が多く、休みも不定期。子育て中の同僚は皆無で、尊敬していた女性の先輩からは「あなたがママ社員のパイオニアになりなさい」と言 われた。「言うのは簡単だけど無理じゃん」

気がつくと結婚生活は5年目に入り、30代半ばに。上司に新たな仕事を打診された時、決心した。「今を逃したら、また身動きが取れなくなる」。決意が揺らがないよう、誰にも相談せずに退職を申し出た。

今、美希さんは都内にある小さな会社に再就職し、深夜まで働いている。結局子どもには恵まれず、結婚生活にもピリオドを打った。「今の会社も子どもがいない女性ばかり。そうでないと続けられない」と苦笑する。結婚はもうしないのでは、と思っている。

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毎日新聞(上 家庭との両立に残業の壁)

毎日新聞(下 「非正規」の待遇改善遠く)

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