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2012/08/01
【東京新聞】遠距離介護 交通費ずしり 公的支援なし


地方に住む親の介護に、都市部から子どもが通う。そんな「遠距離介護」が増える中、当事者にとって重い負担となるのが往復の交通費だ。介護目的の割引制度があるのは航空路線のみ。当事者は節約を重ねながら、行き来を続けている。 (杉戸祐子)

「交通費負担は帰省の障壁になりますね」。東京都杉並区のファイナンシャルプランナー河村修一さん(46)は約十年前から月一回のペースで、故郷 山口県内で暮らす七十代の両親のもとに帰省している。母は脳卒中の後遺症で要介護5の認定を受け、老人保健施設に入っている。父は自宅にいるが「地域との 関わりがない上、判断能力が落ちているようで心配」と、都内に住む兄(47)と分担して様子を見に通う。

よく利用するのは航空会社の早期割引。普通運賃は片道約三万五千円だが、早く予約すれば一万円台に抑えられる。介護に特化した「介護帰省割引」は 二万数千円なので早期割引の方が安い。「予定を立てて帰る時は早期割引、急に駆けつける時は介護割引と使い分ける」。他に宿泊とセットになった旅行会社の パッケージツアーが安ければ利用する。

両親を東京に呼び寄せようとしたが、父の賛同を得られなかった。河村さんは「両親の状態が安定している時期は帰る頻度を減らす。長く続くので計画的に考えないと」と語る。

介護保険などの公的制度に遠距離介護の交通費支援はない。帰省の足のうち、航空路線では全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)などが割引制度 を導入している。ANAの場合、対象は要介護・要支援と認定された人の二親等以内の親族など。ほぼ全路線で基本料金の35%引き。二〇一一年度は約二万六 千人が登録し、約一万五千人が利用した。

主な鉄道路線、高速道路に介護帰省に特化した割引制度はない。そこで、二百一キロ以上の利用で割引を受けられる「大人の休日倶楽部」(JR東日 本)などに入会したり、株主優待券やパッケージツアーを活用して出費を抑える人もいる。年代的に子の教育費や住宅ローンなどの負担を抱えながら、帰省の交 通費を捻出しているのが実態だ。

遠距離介護をテーマに活動するNPO法人「パオッコ」の調査(子世代二百十七人が回答)で、困りごとで最も多かったのは交通費。理事長の太田差恵子さんは「親が介護施設にいても、急な体調不良などで駆けつけないといけない場面はある。費用は確実にかさむ」と指摘する。

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東京新聞

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