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2012/09/14
【東京新聞】災害時、孤立しがちな難病患者 「手帳」で情報伝えよう


東日本大震災では、周囲の無理解のために、難病患者らが支援を求める声を上げられず、苦しんだ。これを教訓に 大規模災害での難病患者支援のネットワークづくりが進んでいる。支援団体は「病状や薬剤などの個人情報を書いたり、登録したりする災害手帳を活用してほし い」と呼び掛けている。 (林勝)

京都市のNPO法人「希少難病患者支援事務局(SORD)」は、東日本大震災の直後、難病患者の被災状況を東北各県に電話で問い合わせ、意外な返 答に驚いた。どの自治体も「患者から支援要請はほとんどない」。違和感を覚え、四月上旬から二カ月間、被災地の避難所約百カ所を回って調査。混乱の中で苦 しむ患者の姿が浮かび上がった。

事例1 ささいな刺激で筋肉が硬直する難病を患う六十代女性が、福島県いわき市の避難所で一カ月間も風呂に入れず、着替えもできずに不衛生な状態 で放置された。避難所の保健師は、病状などを把握していたが、本人の要望がなく対応していなかった。女性は「自分の病気を分かってくれる人がいない」「周 囲に病気を知られたくない」との理由で我慢していた。

事例2 神経伝達の異常で手足の震えや歩行困難になるパーキンソン病の四十代の双子の男性が、同県郡山市の駐車場に止めた軽ワゴン車内で約一カ月 間も孤立していた。震災直後に避難所に身を寄せたが、周囲から「気持ち悪い」「死ねばいい」と言われ、行政職員や医師に何度も個別対応を求めた。だが、聞 き入れてもらえず不信に陥り、車の中で人目を避け続けるようになった。

SORDの加賀俊裕事務局長は「行政職員や医療者側は、数の多い病気の対応を優先する。知らない病気で対処法が分からないと、組織の上へ報告もされにくくなる」と指摘する。

SORDは調査から、国の医療支援の対象となっている難病(特定疾患五十六疾患、難治性疾患克服研究事業対象約四百疾患)よりも、六千疾患を超す 希少難病の患者や病名の未確定患者では「支援がさらに受けにくくなる」と問題視。今年三月、「日本希少難病患者災害支援対策機構(JDRD)」を設立し た。

医療機関や患者会、行政、企業と連携し、災害時に希少難病患者の支援につなぐネットワークの構築を目指す。既に京都府と協定を結び、今後、協力自治体や団体を増やしていく。

課題は、国内数百万人ともいわれる希少難病患者の把握。具体的支援のためには個人情報のデータベース化が必要だが、個人情報保護法が壁となり、各 団体から直接提供を受けるのは難しい。そこでインターネットを介した「災害手帳登録システム」をつくり、病名や薬歴、緊急連絡先、介護の留意点などの事前 登録を呼び掛けている。

SORDの活動に賛同した愛知線維筋痛症患者・家族会エスペランサ(名古屋市)は、事前登録の支援を九月から開始。情報を書いた携帯用「マイ災害手帳」もつくり、いつどこで災害や事故に遭っても、適切な医療や支援につながりやすいようにした。

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東京新聞

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