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2013/04/22
【西日本新聞】生と終末 オランダからの報告


 

生と終末 オランダからの報告
<1>カフェ 認知症支え合う社交場
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/7127
<2>ボランティア 包み込むような介護
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/7128
<3>地域ケア 住民と人生歩む喜び
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/7129
<4>安楽死 「ありがとう」最期に
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/7131

<1>カフェ 認知症支え合う社交場

■高齢社会を生きる 第2部■

「夫が認知症と診断されたときは、本当にショックでした」。オランダの古都・ライデン。軽やかなアコーディオンの調べが流れる「カフェ」で、ヨーカ・テスク(62)は語り始めた。

振り返ると、数年前から夫の行動には変化がでていたように思う。恐れが現実になったのは昨年のこと。「何年も勤めた職場でおかしなことをするようになったの」。人から預かった物をどこに置いたか分からなくなる。3階が仕事場なのに、4階や5階で迷子になる。家庭医に認知症の専門医を紹介してもらい、覚悟を決めて受診。若年認知症と告げられた。

「夫はまだ家族の名前も分かるが、病気が進行したらどうなるのか」。頭に浮かぶのは不安ばかり。「もっと認知症のことを知りたい」と、カフェに通い始めた。

カフェの名は「アルツハイマーカフェ」。認知症の人々と家族や支援者、一般市民が集う社交場である。役場など公共施設を一晩借りてコーヒーや軽食を楽しみながら、さまざまなテーマの下、認知症について語り合う。

運営するのはオランダ・アルツハイマー協会とボランティア。オランダ国内の約220カ所で毎月開催され、コーヒーが飲めない人向けには、アルツハイマーティーハウスもある。

カフェでは事前に月ごとのテーマを決め、広く周知している。内容は「アルツハイマーって何」に始まり、予防法や適切な食べ物、コミュニケーションの取り方、お金の負担まで多岐にわたる。

「認知症のケアで重要なのは情報をみんなで共有することです」。運営責任者で協会理事のアンナリック・ファン・レリフェルド(65)が説明してくれた。「認知症はごく普通の病気で怖くはないと知ってもらい、ベストの選択を知る機会を提供する。それがアルツハイマーカフェです」

ライデンのカフェには花が飾られたテーブルが10卓ほどと、それを取り囲む半円形の階段状の座席がある。この日のテーマは「動くことの大切さ」。会場が80人の老若男女で埋まると、専門家に女性が質問する形式で軽妙なトークが始まった。「認知症の人も積極的に家事をしよう」「30分の散歩も効果的だ」

続いて、アコーディオンに合わせ、参加者全員で体操や簡単なダンスが始まった。演奏するのは「ライフミュージック」。伝統民謡など懐かしさを呼び起こす曲という。声を合わせながら体を右に左に動かすと、みんなの顔がほころんできた。

「すごくいい雰囲気でしょう」。雑談タイムに移ると、隣の席からヨスト・ブランスマ(62)と妻のマウス(62)が話しかけてきた。夫妻はかつて認知症の母を連れてカフェに通っていた。その母は昨年、95歳で亡くなったが、今も夫婦で来ている。体験を語ることで家族の認知症に苦しむ人たちを支えたいからだ。

午後9時にカフェは終わった。それでも人々は会話を続け、席を立つ気配はない。ヨーカが言った。「同じ悩みがある人たちと、もっとたくさん話したい」

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西日本新聞

<1>カフェ 認知症支え合う社交場

<2>ボランティア 包み込むような介護

<3>地域ケア 住民と人生歩む喜び

<4>安楽死 「ありがとう」最期に

 

 

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