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2013/05/23
【毎日新聞】社説:要援護者の名簿 災害時に生かす備えを


 

【毎日新聞】社説:要援護者の名簿 災害時に生かす備えを
http://mainichi.jp/opinion/news/20130522k0000m070144000c.html

東日本大震災で亡くなった人の約3分の2は60歳以上だった。また、障害者の死亡率は健常者の2倍だったとされる。

災害時に自力で避難するのが難しい要援護者について、政府は2006年に定めたガイドラインで名簿作りなど必要な情報の収集と管理、さらに具体的な避難支援計画の策定を市町村に求めてきた。

だが、被災した自治体に内閣府が聞き取りをしたところ、ガイドラインが徹底されていなかった。

その背景には、個人情報の保護に関する行き過ぎた配慮があったようだ。政府はそうした反省を踏まえ、市町村に対して要援護者の把握に努めたうえで名簿作成を義務づける災害対策基本法の改正案を今国会に提出した。衆院で審議中だ。

内閣府の調査では、多くの自治体が名簿は作成していた。だが、「緊急時のみ民生委員や消防団に渡す同意を取っていたので、災害発生時のドタバタで提供できなかった」「名簿への登録に同意していなかった障害者も多く、支援の手が回らなかった」「名簿をどこに渡すべきか検討中だった」などの回答が集まった。

消防庁の全国調査でも、要援護者名簿を作成済みの自治体は、昨年4月時点で約3分の2にとどまる。

個人情報の保護にこだわるあまり、自治体によっては高齢者や障害者の情報を持つ福祉部局から防災部局に要援護者の情報が伝えられていない。過剰反応の典型と言えるのではないか。そもそも同意がなければ作成できなかったり、支援する側に渡せなかったりでは、命に関わる名簿としての役割を果たせない。

法案によると、名簿作成は、要援護者本人の了解を必要としない。ただし、消防や警察、町内会などに名簿を事前に提供する際は本人の同意を必要とする。だが、緊急時は同意がなくても提供できる。名簿を受け取った者は守秘義務を負う−−。おおむね、そういった内容だ。

要援護者のプライバシーに目配りしながら、いざという時に役立つ名簿を作る仕組みとして妥当な内容と言えるだろう。

改正案が成立すれば、各自治体は市町村ごとに作る防災計画で、具体的な避難計画を練ることになる。

その時、要援護者の避難の支援を警察や消防など公的機関だけに任すのは現実的でない。いざ災害が起きた時にすぐ駆けつけるのは難しい場面も想定されるからだ。

隣近所で「共助」していく体制を網の目のように行き届かせることが求められる。支援者を確保し、訓練などを通じ普段から意思疎通を図ってもらう。そうした取り組みを市町村単位で地道に進めてもらいたい。

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毎日新聞

 

 

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