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2013/11/18
【東京新聞】社説:障害者の虐待 声なき被害どう見抜く


 

【東京新聞】社説:障害者の虐待 声なき被害どう見抜く
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111802000143.html

多くの障害者が虐げられている現実に言葉を失う。障害者虐待防止法の施行一年の節目に、厚生労働省がまとめた全国の実態は衝撃的だ。密室での被害をどう食い止めるのか。社会全体で考えたい。

子どもや高齢者の虐待、夫婦間の暴力(DV)を防ぐ法律と並び、障害者の人権や尊厳の擁護に焦点を当てた法律だ。家庭や福祉施設、職場での異変に気づいた人は自治体に通報する義務がある。

厚労省は昨年十月から今年三月までの実態を明らかにした。相談や通報は四千五百件を超え、被害者は約千七百人に達した。容易ならない事態だ。

虐待には身体への暴力や性的な接触、言葉や態度での侮辱、介助の放棄といった五類型がある。年金や賃金の横取りも対象だ。

家庭や施設での被害者の約五割、職場では約七割を知的障害者が占めた。虐待の認識が薄かったり、意思表示が難しかったりするからだ。「しつけ」や「指導」との違いの見極めが大きな課題だ。

表面化するのは氷山の一角とみる専門家は多い。救済力の底上げは喫緊を要する。

悲しいかな、被害者全体の約八割は家族ら養護者から虐待されていた。統計には含まれないが、一月に川崎市で発覚した母子三人の無理心中には考えさせられる。

高齢の母親と会社勤めの長男が、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、寝たきりだった長女もろとも亡くなった。介護疲れの末の悲劇だったようだ。

近隣の無関心ぶりや社会福祉との隔たりが浮かぶ。出口の見えない重荷は養護者を追い詰め、不幸な結果を招く危険性が高い。

子どもや高齢者の虐待と似た構図だ。地域で孤立状態に陥らないよう周りが意識を高め、小さな情報でも素早く窓口に届けたい。

とはいえ、障害者の福祉や権利を守る知識や経験を持つ職員がいるのは都道府県で55%、市区町村で28%にとどまった。相談や通報の受け皿となる自治体の体制がもろくては救済機能は働くまい。

市区町村は住居への立ち入り調査や被害者の一時保護ができる。施設や職場での虐待には都道府県や労働局がそれぞれ動く仕組みだが、初動対応の中心を担う市区町村の人材育成が急務だ。

二年後の法見直しでは学校や保育所、病院などの領域でも虐待防止策を充実させるべきだ。今年できた障害者差別解消法とセットで、障害の有無にかかわらず暮らしやすい社会の支えとしたい。

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東京新聞

 

 

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