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2014/04/09
【朝日新聞】ルポ&インタビュー:老老介護の日々 認知症の妻と6年


私が書いた記者有論「認知症の見守り」(昨年10月16日付)を読んで、認知症の妻伊藤金子(かねこ)さん(83)を自宅で介護する愛知県岡崎市の伊藤新次郎さん(81)から「介護している家族は疲れている。先も見えない」と連絡をいただいた。そこから夫妻との交流が始まった。ますます進む日本の高齢化。老老介護も増加の一途をたどる。伊藤さん夫妻の歩みとともに老老介護を考えた。(編集委員・友野賀世)

■家族は疲れ、先見えない でもね、一人はわびしい

金子さんは今年3月から特別養護老人ホームで過ごしている。「施設でちゃんと食べてくれるかなぁ」と心配していた新次郎さんが拍子抜けするほどあっさりと金子さんは施設になじんだ。他の入所者の移動や配膳を手伝おうとする様子に「女房は娘の学校でPTAの役員をやっていたような性格。今も自分が世話しないといけないと思っているみたいだ」と新次郎さん。新次郎さんはだいたい1日おきに金子さんに会いに行く。

特養に入所するまでの約6年間は、新次郎さんが金子さんを介護してきた。手を上げるような衝動に駆られたことはない。でも、風呂に一緒に入って妻の体を洗おうと、服を全部脱いで準備しているのに、突然「入らない」と拒まれれば腹も立つ。

新聞を開けば介護に絡む記事もある。「『こうすればいい』と書いてあるようには、実際にはいかないって」。例えば「介護する人は怒ってはいけない」という記述。「そりゃ、そうだろうと思うよ。でもねえ……。こっちの気持ちはどうなる?」。毎朝、犬の散歩で顔見知りと世間話をして、2カ月に1回、家族介護者の集いでお互いに苦労や悩みを打ち明け、雑談を交わす。それが息抜きになった、と新次郎さんは振り返る。

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朝日新聞

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