「歴史修正主義」本を検証してみた(加藤直樹)
◆「朝鮮人暴動」を伝える流言記事が「証拠」
前回の記事(1月19日「日本版『否定と肯定』裁判で問われた南京事件」)で、歴史学者がホロコースト(ナチスドイツのユダヤ人虐殺)否定論者に訴えられたという実話に基づく法廷劇を描いたイギリス映画『否定と肯定』を紹介し、それを地で行くような裁判が、日本でも南京事件の生存者の証言をめぐって起きていたという話を書いた。
まともな歴史学の見地からは否定しようがない史実を史料の歪曲や曲解、果ては捏造によって否定しようとする試みを「歴史修正主義」と呼ぶ。歴史修正主義の内実がいかにデタラメでなものであるかを、私が身にしみて痛感したのは、自分の関心領域である関東大震災時の朝鮮人虐殺についての否定論について検証してみたときだった。
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