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 この時は、夫も激怒しました。「産休取得は給料をもらっている人の権利だから、給料をもらっていない人にはそれ以上の権利があって当然。労働運動の歴史を何と心得るか」と。
 それで私はどうしたかというと、身近な人に話して、一人ひとり私の味方を増やしていった。そして、十分に味方を増やしたうえで、教授に全ての経過を話したんです。もちろん、その後私の産休は認められました。

“実”をとりたいがために、正論をつきつけずに周りを固めていくこのやり方は、精神科医として身につけた手法です。思春期の患者さんを診る中で、患者さんの親に面と向かって「親の育て方が間違ってる」と言うと不要な反発を招くことになる。だから、「何と言ってもお子さんの幸せを一番願っているのは親御さんですからね」とプライドを刺激しながら、「じゃあ、次はこうしてみてくれませんか」と促す。相手の目線まで一度下りて、そこから、1センチだけ高めようとする手法です。
 日本では、何かを変革しようとする時、正論が“分かっている少数の人”だけに支えられてきたので、それ以外の多くの人たちの共感を得られずにきた。「変わる」ということのストレスを十分に理解してあげてこなかったと思います。 その結果、相変わらず暮らしにくい社会が続いていると私は思うんですよね・・・。

 私は医者になって、そういったことを考えるようになると同時に、社会の病理にも気づくようになったんです。治療の中で患者さんに、「どんな意見も、尊重されるべき」「自分で考えたことを口に出して言っていい」などと言うことも多かったんですが、これは医師が言うべき言葉じゃないと思えてきた。学校や社会教育の中で何とかしないといけない問題だ。心の病気を精神科医が治しても、今の社会だとまた同じ病気にかかってしまう。社会そのものを治さない限り、精神科医という手段では間に合わない、と。心の健康度の高い社会をつくりたいという、かねてからの目標のために、手段を変えて政治家になったんです。

 
水島広子(みずしま・ひろこ)
衆議院議員。医学博士。1968年東京都生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院修了。医師免許取得後、1年間の海外放浪旅行を経て、93年から母校の精神神経科に勤務。専門は摂食障害をはじめとする思春期前後の問題やジェンダーに関する諸問題で、著書に『親子不全=キレない子どもの育て方』(講談社現代新書)、『セクハラこれが正しい対応です』(共著、中央経済社)『専門医がやさしく教えるうつ病』(PHP研究所)などがある。民主党の女性候補者公募に応募し、2000年6月、栃木1区から立候補して衆議院に当選を果たす。宇都宮市に、別姓婚で映像プロデューサーの夫、2歳8カ月の娘とともに在住。


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