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グループ夕映えのメンバーの一部
グループ夕映えのメンバーの一部

 自分できちんと心の整理ができた大山貴子さん(仮名・67歳)の言葉は歯切れがいい。 「難しい理屈は分からないけど、年老いて体が不自由になり、弱って死ぬのが人間の運命。まだ生きたい、まだ仕事ができる、まだ未練があると思ってるうちは、生きている資格があるし、一所懸命生きなあかんと思う。でも、生きてるか死んでるのか分からない状態になっても、息だけさせられるのはごめんやわ」
 
入会するつもりが手続きをする前に病気になり、延命治療を延々10年間も続けられた人もある。夏地さんのもとに、娘さんが電話で「自殺したい」と助けを求めてきたのだ。夕映えの存在を知り、もしもの場合、自分も延命治療はしてほしくないと常々娘さんに話していたが、70歳の時に脳梗塞で倒れ、1年半後には植物状態になってしまった。 それから10年もの延命治療。娘さんは長い看病で心身共にクタクタになり、「母を殺して、自殺したい」と夏地さんに訴えてきたのである。担当医に延命治療を止めて欲しいと頼んでも、 一度入れたチューブは抜けないという返事だったという。 夏地さんは、「私やったら、そこまで追い込まれているあなたの本音をお医者さんに話すよ」と答えたそうだ。娘さんは正直に自分の気持ちを話し、装置は担当医によってはずされた。

老後を笑って暮らし、上手に死にたい

 グループ夕映えが誕生して、すでに13年。92年には、日本医師会・生命倫理懇談会から※「尊厳死容認」が発表された。「万、万歳でした」と話す夏地さん。みんなの老後をさらに楽しく、健康につながる笑いも取り入れようと、3年前には※「日本笑い学会」にも入会。京都支部長として、今春には自宅を拠点に「京都笑学校」も設立予定である。
 

「民舞会」の練習風景
「民舞会」の練習風景

各地での講演活動も多く、夏地さんの講演の後は民舞会の踊りの披露が恒例となっている。そのための練習に忙しい会のみなさん。夏地さんの独創的な振り付けにあわせ、民謡から歌謡曲、サンバ、ジャズダンスと何でもありのジャンルの広さだ。もちろん練習後のお楽しみは、陽気なおしゃべりと持ち寄りのお菓子でストレス発散。踊って身体を動かし、日常に笑いもふんだんに取り入れて、おまけに自分らしい死に方も考えようという、三者合体のユニークな会である。
 
夏地さんはいう。「お医者さんの中には家族の気持ちが分かり、無駄な延命措置は打ち切ろうという信念をもった先生もいらっしゃる。でも、それでは上から無言の圧力がかかるのが現状。病院にとって終末医療は、一番の稼ぎ時ですから」と。そして、「働き盛りの人は過激な治療を受けても辛抱しなきゃと思う。でも、高年齢になったら、自然に枯れていくのが自然の節理。今では医療があまりに高度化し、その恩恵を受けるよりも高齢者が人間らしくない治療を背負わされる立場になっている。治らないものに切開してまでチューブを入れるやなんて、拷問と同じやないですか」とも。
 
そのためには、元気なうちから終末をどう迎えたいかを家族と話し合い、もっと賢くなろうという夏地さん。医師が常に最高の治療をしてくれていると勘違いしてはいけないというのだ。自分の体のことは自分でよく知って、いい主治医を見つけておこうと。夏地さん自身、2年前には大腸ガンの疑いがあると告げられた。普通なら精密検査となるところだが、「この年になったら進行も遅いし、放っておきます。検査、検査で気が滅入るのはもう結構。へぇーおおきに」と、きっぱり断ったそうだ。
「老後もいつもイキイキと。楽しく生きて、笑って死にたいやないですか」  

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