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長島愛生園にある納骨堂。
職員・入所者あわせて3300人分の遺骨が眠る。
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火葬場がある「療養所」

 中山秋夫さんには2時間ほど、ハンセン病国賠訴訟の原告となるまでの思いを中心に話していただいた。しかし、それらはすべて自作の詩に凝縮されている。どんな言葉を接いでも、補足でしかない。
 
 '96年4月1日、「らい予防法」(旧法)が廃止され、「らい予防法の廃止に関する法律」(新法)が制定された。多くの人は、マスコミ報道によって「悪名高い法律が廃止され、新しく、いい法律ができた」というイメージを抱いたのではないだろうか。
 しかし「らい予防法」は、「廃止した」のではなく、「廃止していただいた」のだ、と中山さん。
「90年にわたった人権侵害のなかで、たくさんの人が死んでいった。いや、死なされた。予防法の廃止にあたって、国はまずその事実を認め、謝罪すべきだった。死んだ者への責任については何も触れないままである以上、生き残った自分の生活が保証されても、私は納得できない」。国が過ちを認めないままの「らい予防法」廃止・新法制定という流れに疑問を感じたからこそ、国賠訴訟の原告として立つ決意を固めたのだ。
 

「回春寮」(岡山・長島愛生園)
収容の際、 船から下りたらまずこの建物に入れられ、診断、消毒が行われた。

 中山さんは20代から30代にかけて重病室主任として、患者でありながら重態に陥った患者たちを看護し、300人にものぼる人々を看取った。患者による病室看護は、24時間体制。ひとつの病室に8台のベッドが置かれていた。ふたつの病室の間に設けられた詰所には4人の患者が詰め、16人の患者を看ていた。園全体で24人の患者が、日曜も祭日もなく看護に明け暮れていたのだ。
 一方、医療体制はというと、1,000人近い入所者に対し、当直医1人と看護婦が2人、無資格の看護士が1人というお粗末さ。そんな環境のなか、主任の中山さんは時に予防着もマスクも着けず、普段着のままで手術の手伝いもしていた。看護に限らず、土木工事から食料生産、教育、火葬に至るまで、日常生活に必要なあらゆる業務が「患者作業」としてなかば強制的に入所者たちに振り分けられていた。療養するどころではなかった。それだけではない。中山さんは怒りをこめて話す。
「療養所という名のもとに、監禁室があり、火葬場があり、納骨堂がある。こんな馬鹿げたもんがセットされている療養所がどこにある」
 監房とも呼ばれた監禁室は、'55年頃まではどの療養所にもあった。療養所の方針に従わなかったり、脱出を試みたりした場合は、所長の判断によってコンクリートで固められた独房に閉じ込められた。患者をとことん社会から隔離し、その死を待つという、まさに「入口だけで出口のない療養所」だったのだ

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