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『呆け老人をかかえる家族の会』
「ぼけても安心して暮らせる社会」を求め、
痴呆高齢者の介護実態を明らかに。
---ベッドや車いすに縛られた痴呆高齢者は約7割(会調査)---
シリーズ第3回
「ぼけても安心して暮らせる社会」を目指し、全国組織の活動を続ける家族の会がある。京都市上京区に本部を置く社団法人『呆け老人をかかえる家族の会』だ。「ぼけ老人の介護は家族だけではなく社会の問題。ぼけ老人の介護の実態をありのままに見据えることで、社会に訴える力も強くなる」と、あえて「呆け老人」の言葉を会の名称に入れ、1980年に発足した。家族同士で話し合い、励まし合う「家族のつどい」や「電話相談」「会報」は、介護に疲れ果て人たちの心のより所となっているばかりか、その声は「社会への声」となり、現実に福祉施策に反映されつつある。
会員を通して'82年に始まった実態調査では、これまで表面化しにくかった痴呆高齢者の在宅介護の実態を報告。老人性痴呆と比べ保障が遅れている働き盛りの若年性痴呆の介護実態などもいち速く明らかにした。そして、'98年には痴呆高齢者の老人ホームや病院などでの「拘束」についての調査を実施。昨年、約7割が何らかの「拘束」を受けているといった報告書をまとめた。拘束に関する初の全国的な調査だが、『やはり』の思いは拭えなかったようである。
調査対象は、 同会の会員で痴呆の高齢者と家族。 過去5年間に利用した医療・福祉施設サービスについて質問し、617人の回答があった。 そのうち約7割にあたる409人が拘束された経験が「ある」と答え、 「ない」が134人、 「わからない」が33人。拘束された内容(複数回答)では、「施設の出入り口にカギがかけられ、昼間自由に出入りできない」=178件が最も多く、「ベッドで手や足を縛られた」=168件、「車いすに体を縛られた」=134件、「特定のスペースに閉じ込められた」=130件、「薬でおとなしくさせられた」=108件と続くが、家族の約半分にあたる50.9%が「やむを得ない」と答えている。
ベッドに縛られた母を見て
なぜ痴呆の高齢者は縛らなければ介護できないのだろうか。 家族はその複雑な思いをアンケートに寄せている。
◆面会に行った時のショックは今でも忘れられない。ベッドに腰ベルトでつながれ、寝返りも自由にできない母。自分で看るからとやっと退院を許されたが、老人病院に入れた自分がどうしても許せない。治療のための一時的な拘束はやむを得ないかもしれないが、日常的に拘束を行うこと、非人間的な扱いをすることには納得いかない。
◆痴呆者に限らずだれでも、拘束は怖い、恐ろしいという思いが渦のように湧いてきて、一時的に異常心理状態に陥る。痴呆者はさらに痴呆を悪くする。恐怖の状態の中で、あばれたりしても、それは正常なことだったととってほしい。
◆人権はすべての人に平等であらねばならないというが、現実には痴呆の人はやっかい者扱いされているのではないか。知らず知らずのうちに拘束しても、それが拘束と気づかず、介護者の都合を優先させてしまうのではないか。
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