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「基本編」


Q11.部落だけが特別扱いをうけ、よくなってきたことにはどうも納得できません。

差別解消のための是正策はさまざま。部落だけにあるものではありません。

差別を受けている人びとへの特別な政策は、世界的にみられるもので、アメリカ合衆国の【アファーマティブ・アクション】、インドの【リザーベーション・システム】などがあげられます。

日本でも、同和対策事業のほかに【男女雇用機会均等法】や【障害者基本法】など差別解消のための法律が制定されており、それにもとづく施策が行われています。

こうした施策の背景には、差別をなくして真の平等を実現するには、法の下の平等を形式的にうたうだけではなく、個々の違いに応じた待遇改善を保障する実質的な平等のための施策が必要である、という考え方があります。

しかし他方で、これらの是正策にたいする強い反発が起きていることも共通します。施策の対象となる人びとへの差別意識がそれらの背景として考えられますが、このような反動が格差拡大のなかで社会政策の水準向上をさまたげる力となっていることについては、十分注意がはらわれるべきでしょう。

日本国憲法は差別を否定するだけでなく、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています(第25条)。しかし戦後復興から高度経済成長にむかう日本社会で、部落は周辺地域と比べて極端に劣悪な住環境のままでした。歴史的に不利な立地を強いられてきたことに加えて、差別のために就職もむずかしく、生活も安定しませんでした。そうしたなかで、貧しさは差別を生む理由のひとつとなっていました。

この実態を放置してきた行政の責任を追及する部落解放運動がひろがるとともに、その主張を支持する世論がたかまりました。そして【同和対策審議会答申】(1965 年)が出されると、これをうけた一連の法律が定められ、同和地区指定をうけた部落において環境改善をはじめ生活水準の底上げがすすめられました。あきらかな格差を埋めるための同和対策事業には社会的な了解があり、これによって貧困と差別の悪循環を断ち切ることがめざされたのです。

この施策は時限立法として制定されたもので、2002(平成14)年に終結しました。ただし、社会矛盾の集約としての部落問題の性格は積みのこされています(Q12参照)。

【アファーマティブ・アクション】
マイノリティへの差別を禁止すると同時に、雇用などにおける機会均等をめざした積極的な差別解消政策。アメリカ合衆国で1965年に開始されました。法令で義務づけられているのは連邦政府との契約業者などですが、民間企業や学校などでも自発的に行われています。当初は人種・肌の色・宗教・出身地による差別の禁止でしたが、まもなく女性が加えられ、のちに障害者・ベトナム戦争からの退役軍人・障害をもつ退役軍人も対象とされました。EU諸国では「ポジティブ・アクション」ともよばれています。

【リザーベーション・システム】
インド憲法(1950年施行)で定められた、「指定カースト」(かつての被差別民カースト)と「指定部族」(先住民族)の地位向上のための政策。「留保制度」とも訳されます。中央と州の議会における議席数の割り当て、公務員への採用や高等教育への進学における優遇制度などが、その内容です。「指定カースト」は国内総人口の16%強とされています。(ただし、ヒンズー教徒・シク教徒・仏教徒のみが対象で、キリスト教やイスラム教への改宗者は排除されています。)

【男女雇用機会均等法】
正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」。1985(昭和60)年制定。採用、配置、昇進などにおける性別による差別を禁じています。

【障害者基本法】
障害者のための施策に関する基本的事項を定めた法律。1970(昭和45)年制定(制定時の名称は心身障害者対策基本法。1993年に改称)。
2004(平成16)年には一部を改正する法律が制定され、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」とする、明確な障害者差別の禁止が基本的理念として盛り込まれました。