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ふらっとへの手紙

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2009/12/25
ふらっとへの手紙from西宮vol.1


介護の辛さを吐き出せば、また明日から頑張れる「つどい場 さくらちゃん」理事長 丸尾多重子さん

いつでも駆け込める場

阪神西宮駅近くに「つどい場 さくらちゃん」をスタートして7年になります。それまでの10年間は母、兄、父と3人の家族を在宅で介護する日々。父を看取った後、ヘルパー1級を取得したのですが、その実習で介護現場の実態に憤慨し、怒りが治まらないまま物件探しに走り、2004年にオープンしました。
 介護中にいちばん辛かったのが、社会との隔絶感。介護中は周りも気づかって声をかけづらくなるので、ますます孤立してしまう。その頃からこんな場所があればいいなと思ってました。「さくらちゃん」は、困り果てた介護者さんから介護されるご本人、疲れ切った介護職の人まで、誰もがいつでも駆け込めて、同じ立場でとことん話せる場。いろんな人との出会いがあり、新しい情報があり、笑いも、美味しいものも揃っています。
 介護って突然始まるもの。だから、介護者にとって最初の1年は病気の受容どころか、自分のことも考える余裕もない無我夢中の時期。それが2~3年経つと、病状も把握できるようになり、疲れも出て不安になってくるんです。そんな時に一番なぐさめになるのは、身内でも親戚でもない、同じ介護をしている人同士。ここでみんな一緒にご飯を食べて心からゆったりできたら、ため込んだ思いをすべて吐き出して、思いっきり泣いて......。そして、人の話も聞いてホッとし、今度は介護の先輩から知恵をもらって、自分も明日からもう1回頑張ってみようと思うようになる。1人で頑張りすぎないで、みんなで支え合うことが大切なんです。

困ったときに駆け込める場所

介護にはこれといった解決策もないし、育児と違ってきれいごとでは語れません。状況は年々深刻になるうえ、介護者は年を取り、介護年数も長引くのが現実です。そんな中で、特に認知症やアルツハイマー病を受け入れるには、もう「人」しかないんですよ。そういう人たちにどう寄り添って生きていくかなんて、家族だけでは無理。隣近所やら地域を巻き込んで、さり気ないサポートで見守りをしていくことが大事じゃないかと思います。
   でも、人の力ってすごいんです。ここに集い、介護の辛さを吐き出した人たちがその体験を力に、今度は自分たちがわずかな空き時間を利用してサポートしようと、30人のボランティアが「3つのタイ活動」を続けています。
 1つは、2年前から西宮市のモデル事業としてもやっている「見守りタイ」。介護者がリフレッシュしたい時や外出したい時、介護が必要でも一人暮らしの人などに、時間単位で見守りや話し相手をしています。2つめが、家に閉じこもってばかりでは息が詰ってしまうからと、介護する人もされる人も外に出ようという「おでかけタイ」です。近場でのいちご狩りやお買物、温泉から北海道旅行まで、年に7~8回はお出かけを楽しんでいます。「認知症やからどこへ行っても分からへん」という言う方も、実際に行ってみてびっくりされる。ご本人の表情がほんとうに違ってくるんです。
 最後が「学びタイ」。病気を正しく理解するには一人ひとりが意識して学ぶ姿勢を持ち、常に新しい情報にアンテナを張って賢い介護者になろうと、定期的に手作りの介護講座を開いています。こちらが一生懸命だと、介護界の第一線で活動されてる先生方も協力してくださる。さくらちゃんでは本当の意味での介護の輪ができつつあります。困った時にいつでも駆け込める第二、第三のさくらちゃんが、全国に広がることを願っています。(談)

●「つどい場さくらちゃん」のHP
http://www.tsudoiba-sakurachan.com/

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