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ふらっとへの手紙

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2010/07/09
ふらっとへの手紙from釜ヶ崎vol.4


「いったい何が起こるんだ」そんな不安も日々のおつきあいを通じてうすれてきました 西成区商店会連盟会長 村井康夫さん

「情報を扱うお店」をイメージできなかった

 ココルームさんがこの商店街に来られることが決まったときは、新世界での活動もまったく知らず、「まあ、居酒屋みたいなものかな」と考えていたんです。ところが「情報を扱う」というお話をされて、どういうものなのか想像もできず、正直いって最初はとまどいました。
 また、比較的若い人たちが集まるだろうということと、ときにはコンサートなども開催するということでした。うちの商店街にはカラオケ居酒屋という形態の店がたくさんあるんですけど、コンサートをする店というのは初めてです。20人から30人もの人が一堂に集まるという状況もありません。そういうことから、商店街の組合員さんたちのなかには「いったい何が起こるんだろう」と不安や困惑を感じた人たちもいました。
 上田さんは「地域のみなさんの居場所をつくりたい」というふうにもおっしゃったのですが、この地域には独特な事情があります。商店街がある地域は何十年にもわたって暮らしてこられた方が中心で、大きな道路を隔てた西側は日雇い労働をする方々のまち、「あいりん地区」です。あいりん地区の方々は商店街のお客さんでもあるわけですが、住民意識という点では商店街周辺の方とは「ずれ」があります。そういう意味で、ココルームやカマメ(カマン!メディアセンター)が、具体的にどんな「居場所」になっていくのだろうという思いはあります。

誰もが楽しめる場を提供する商店街に

 ただ、「居場所」が必要であるという認識は、わたしにもあります。現在、あいりん地区にお住まいの方は単身で60歳以上という方が大半を占めています。大阪市の福祉行政がある程度進んできて、生活が安定してきたとはいえ、経済的に「低い」部分での安定ですから、必ずしも安心感にはつながっていません。単身の方が多いのでなおさら所在のなさを感じておられるでしょう。これは地域にとっても大きな課題だと思います。
 商店街もまた課題を抱えています。高度経済成長期は、商店街の酒場でもけんかが絶えないような状況でしたが、活気はありました。ところが日雇い労働者の方々の高齢化と低所得化が進み、消費も落ち込んできました。そこで何ができるだろうかと考え、試行錯誤しています。ココルームさんはこうした商店街の活動にも積極的に参加されています。たとえば、新型インフルエンザが流行ったときにマスクを配ったときのことです。もともとこの地域は日本でもっとも結核患者が多い地域です。しかも高齢者が多く、ひとたび流行すれば大変です。そこでマスクの配布というアイディアが出たのですが、ただ配るだけでは面白くない。どうせなら遊び心も提案したいということで、「動物園前一番街」という商店街の名前にちなみ、オリジナルで動物のスタンプを用意しました。そしてカマメの前で、「オリジナルのマスクをつくってみませんか」と通りかかる人たちに呼びかけてもらったんです。なかなか好評だったようです。そのほか、清掃活動や懇親会、総会などを開催すると必ず参加されます。このように積極的に商店街組合にかかわっていただいているのはありがたいことです。
 消費の選択肢が広がる一方で、幅広い年代が楽しめる場所がなくなってきました。若い人たちはまちの中心部へ出かけていく傾向がありますが、商店街の入口にあるコンビニには多くの若者が見受けられます。ココルームさんにも参加してもらいながら、誰もが楽しめる場を提供できる商店街にしたいと考えています。(談)

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●こえとことばとこころの部屋(ココルーム)のHP
http://www.cocoroom.org/

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