ふらっと 人権情報ネットワーク

ふらっとへの手紙



ふらっとへの手紙from吹田vol.6

2011/03/25


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今年も、他の団体と協力して、関西のフェアトレード商品の取扱店を紹介した「関西フェアトレードマップ(2011年度版)」を作りました。掲載したのは、大阪、兵庫、京都の99店と、スーパーマーケット、コンビニ、カフェ(いずれもチェーン)、大学生協など。私がフェアトレードに取り組み出した10数年前とは隔世の感があるほど、取扱店も増え、フェアトレードの認知度も上がりました。
しかし、今回このマップを作るにあたって、「うちは掲載を拒否します」という店が数店かありました。「フェアトレード」という言語表現をめぐっての考え方の違いからです。
フェアトレードは、直訳すると「公正な貿易(取引)」。フェアかアンフェアかの二元論が日本では馴染まないと考えたり、低品質のものがイメージされると危惧したり、また、もともとキリスト教のチャリティーから出発した時に「恵まれない人に慈悲を」的な考えだったことに違和感を唱え、フェアトレードという言葉を意識的に避ける団体や店もあるのです。途上国で素晴らしい鞄を生産し、販売している会社にも、「いわゆるフェアトレードとは一線を画していますから」と断られました。
残念です。フェアトレードの表記が絶対だとは私も思いませんが、他に的確な用語がなく、欧米ではすでに定着している言葉です。「開発途上国に住む,弱い立場の人たちが自立できるように、彼らが作ったものをよりよい条件、価格で継続的に取引する」という本来の大きな目的意識は同じなのですから、フェアトレードという言葉に統一するほうが、認知度をさらに上げ、国や自治体などへのロビー活動もやりやすいと思うのですが、どうでしょうか。

 

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目下、フェアトレード情報の発信、フェアトレード運動・フェアトレード製品の普及に軸足を置いて活動している中、確かな手応えを感じてきています。それには次の3つの要因があります。
一つは、私が副実行委員長を務めた2月の国際協力のお祭り、ワンワールド・フェスティバル(於:大阪国際交流センター)の来場者数が去年より3000人多い1万7500人となり、盛況だったこと。フェアトレードのセミナーや映画に加え、フェアトレード・コーナーに設けた6団体への入場者の関心も高く、売上?も好調でした。
二つ目は、フェアトレードに目を向ける企業が増えたことです。わかりやすいところでは、チョコレートについて、

などです。
三つ目は、フェアトレードについての授業を設ける大学がずいぶん増えたこと。私も、龍谷大、立命館大、関西学院大、甲南女子大で定期的に授業をしてきましたが、今年は帝塚山学院大でも3日間12コマの連続授業をすることになりました。
大学生たちのフェアトレードへの感度はとてもいい。多くの学生は「これまで知らなかった」と率直に驚き、興味を持ってくれます。フェアトレード団体と提携してオリジナルのフェアトレード・チョコレートを作る甲南大学のサークルなど、フェアトレードのサークルも各大学にできてきています。

そのほか、私は去年、高齢者大学「芦屋カレッジ」、今年は神戸シルバーカレッジというところに講演に行き、年配層にもフェアトレードはご理解いただけると実感しました。 
リタイアされた年配者たちは、最初はずいぶん斜に構えられます。フェアトレードをご存知なのは、10人に1人程度。フェアトレード商品を買ったことがあるのは80人中2?3人でした。しかし、私がいろいろとご説明すると、理解は意外と早い。帰りに、商品(見本)を指して「これいくらですか?」と購買意欲を示される方もずいぶんいらっしゃいました。年配層には、手作りのモノの価値を分かる方が多く、実際の購買に結びつきやすいと気づき、今後のフェアトレード商品の普及についての一つのヒントを得た思いがしました。

 

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民主党が掲げる「新しい公共」の中のCSR円卓会議で、「貧困・開発分野の中で、協働によって取り組むべき課題」の一つにフェアトレードが取り上?げられ、行政、NGO、N?POなど関係団体が平成22-23年度に取り組むべきアクションが示されたことや、http://sustainability.go.jp/forum/index.html
熊本市議会で、同市が日本初の「フェアトレンド・タウン」を目指すことの議論が進んでいることからも、今、フェアトレードの追い風は吹いてきていると、分かっていただけるでしょうか。

「フェアトレード・サマサマ」は、現在一人でやっている草の根運動ですが、私は、多くの人の関心がフェアトレードに向くようにと願い、今後も活動していきます。「フェアトレード商品を買うことは。生産者に一票を投票すること」ですから。