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一人ひとりが「明日の自由」を考えるために  あすわか 小谷成美弁護士

2014/09/12


身近な場所で気軽に話し、つながりを広めていく

――具体的にはどんなことをされているのですか?

小谷成美さん

 最近始めたのは「憲法カフェ」です。私たちが集会をやってそこに集まってもらうのではなく、みなさんの身近なところに私たちが出かけて行こうという発想です。気軽に立ち寄れるカフェやバー、レストランなどに企画をしてもらい、私たち弁護士を呼んでもらう。参加された方が「面白い」「うちの近くでもやってほしい」と思ってもらえたら、また企画してもらうという方法で少しずつ広げています。「今、憲法を考える」みたいな固いテーマを掲げた集会には参加したことがないし、ハードルが高いという人でもかわいいカフェやおしゃれなレストランなら行きやすいですよね。お茶や食事もできますし。

――こちらから出かけていく。身近な場所で少人数で話をする。いわば法律家のアウトリーチ(現場に出向いて働きかける)ですね。

 はい。もともとは関東在住の女性弁護士が始めました。それも知り合いの店や紹介などではなく、カフェが掲載されている雑誌やタウンページを見て、「オーガニックのものを置いているお店だから平和に関心の高いお客さんが集まるんじゃない?」という感じで人が集まりそうなお店を絞り込み、「憲法について語り合う催しをしませんか」とお手紙を出すという方法を考えました。そして返事をくれたお店でやらせていただいたんです。自分たちでかわいいイラストをあしらったチラシも作ってお店に置いてもらいました。すると思った通り、「どうなるんだろうと不安だった」というような人たちが集まってくれました。若い人が多く、子連れで来てくれる人たちもいて、手応えを感じました。それからどんどん全国でメンバーが「憲法カフェ」と開くようになってきました。幼稚園や保育園、ヨガ教室、お好み焼き屋さん、助産院などでもやってるんですよ。

 大阪でやった時には私も関わりました。約20人の参加者のなかにはお店の常連さんもいましたが、「買い物の帰りに来てみました」という人もいました。そのなかに「友だちが神戸でカフェをやっています。こういうのってすごくいいと思うので、友だちに勧めてもいいですか」と言ってくださる人もいて。次は、ご紹介いただいた神戸のスローフードのお店で「憲法カフェ」をやることになりました。メンバーは日常的にメーリングリストで情報や意見を交換しているのですが、憲法カフェも「こういうやり方があるんだ、じゃあうちもやってみよう」ということで各地で始まり、広がっています。

――こうした活動はボランティアですか?

  有償かどうかは担当する人が主催者であるお店や施設と話し合って判断しています。交通費だけいただく、あるいはいくらか謝礼をいただくこともあるようですが、それほど高くはありません。

――参加者はどんな思いで来られるのでしょうか。

 幅広い年齢の方がいらっしゃっていますが、20代、30代の若い人たちが多いのが特徴ですね。先ほどお話しした、買い物帰りに立ち寄ったという人は自衛隊の基地の近くに住んでいらっしゃるそうなんですが「最近騒音がひどくなってきてる。何か怖いことが起こっているような気がするけど、何が起きているのかわからない。不安に思っているところにこの催しを知って、とにかく来てみようと思いました」と話されていました。

 社会人になって間もないという若い女性は、「私もこのままでは危ないんじゃないかと思うのですが、周りには話せない。でも何かできることはないかと思って参加しました」とおっしゃっていました。