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「イチャモン」の背景にあるものを読み取る

--こうした話になると、「戦後教育が悪い」と言う人もいますが……。

 それはまったくの間違いです。要求の正当性の吟味や正当な要求の出し方を知らない、つまり「市民性」の教育がきちんとなされていないからです。よく権利と義務が一対で語られますが、権利を行使するときにともなうのは義務ではなく「責任」です。たとえば表現の自由を行使するとき、他人の人権を侵害しないという責任がともなうということです。

--イチャモン問題の概念と、今の社会のありようが大きく影響していることがわかりました。では具体的にどんな視点や取り組みが必要なのでしょうか。まず、学校の先生に対しては?

小野田さん 私は、保護者から学校に向けて出される要求を、「要望(向き合うべき課題)」「苦情」「イチャモン(無理難題要求)」の3段階に分けて分析、整理しています。「要望」とは、学校がやるべきことに対するまっとうな要求です。「苦情」とは学校がある程度は対応すべき要求で、学校にもどうにもできない要求が「イチャモン」です。先生たちもまずはさまざまな要求を整理されるといいと思います。

 もっとも重要なのは、先生たちにすれば「イチャモン」にしか思えない要求も切り捨てず、隠された本音を読み取る姿勢をもつことです。数々の「イチャモン」を分析してわかってきたのは、「往々にして表に見える現象とは違うところに本音がある」ということでした。「ウチの子は女の先生とは合わないから担任を変えろ」「ウチの子とけんかをした同級生を休ませろ」など、そのまま受け取れば途方に暮れるような要求があります。けれど保護者とじっくり話していると、実は「最近、子どもが荒れ気味で不安で仕方なかった」「先生が我が子をちゃんと見てくれているのか不安だった」「親しく話ができる親のつながりがなくて寂しかった」といった“本当のところ”が表れてくるのです。顔を合わせて話をするだけで、電話での剣幕が嘘のように収まることも少なくありません。たくさんの業務を抱えている先生たちにとってはそうした時間をつくるのも大変でしょうが、こじれて修復不可能になることに比べれば、やってみる価値はあります。

 寂しい、かまってほしいという気持ちを素直に出せない、むしろ寂しいからこそ突っかかる、怒るという形でコミュニケーションをとることがあることや、保護者自身がストレスや不安を抱えていることを頭に入れておいてほしいですね。そして、話を聞きながら「怒りの源」がどこにあるかを考えるんです。場合によっては医療や福祉の力が必要なこともあるでしょう。決して一人で抱え込まないことです。トラブルに発展した場合はもちろんですが、それ以前の段階でも保護者との対応について何らかの不安を感じたら遠慮なく周囲の先生たちに相談することです。何もかも自分で解決しなければならないと背負い込んではいけません。

--先生の側にも、人とコミュニケーションをとるのが上手い、あるいは好きという人と、苦手な人がいますね。

 もちろん、そうです。年齢的なことや経験にもよります。だからこそ一人で抱え込まないでほしいんです。そして上手くやれないことを恥だと思わないことです。上手い先生にアドバイスしてもらったり手伝ってもらえばいいんですよ。

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