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 2002年10月、名古屋刑務所は記者会見を開き、所内で死亡事件や傷害事件が起きていたことを公表した。以来、名古屋刑務所を筆頭に各地の刑務所で死亡事件を含む暴力事件が数多く起きていることが明らかになり、社会的問題として注目を集めている。刑務所という閉鎖的な空間で内臓が裂けるほどの暴行がまかり通っているという事実を、私たちはどう受け止めるべきなのか。NPO監獄人権センター事務局長・海渡雄一さんに刑務所における人権侵害の実態と問題点を伺った。

NPO法人 監獄人権センター 事務局長・弁護士 海度雄一さん 〜名古屋刑務所事件から見えてくるもの〜 刑務所の中の人権侵害

国際的な批判を受けている日本の刑務所

 監獄人権センターでは革手錠や保護房の問題を早くから指摘してきましたが、昨年10月から一連の名古屋刑務所事件が明らかになって以来、社会的な関心が高まりました。刑務所なんだから多少きつい思いをしても仕方ないと思いつつ、あまりにひどい実態を知って多くの人が「これはひどすぎる」と感じてくれたのではないでしょうか。
 拷問を受けないというのは人権保障の大前提のひとつですが、日本の一部の刑務所では拷問と言ってもいいような扱いがまかり通っているのが現状です。今回の事件で知られるようになった革手錠の報復的な使用や日本の刑務所の閉鎖的な体制については、以前から国際的な批判を受けていました。1998年に開かれた国連規約人権委員会では「残酷で非人間的な取扱いと考えられる革手錠のような保護手段の多用」に懸念を表明していました。
 刑務所を管轄する法務省矯正局はこの勧告を受けて、革手錠の運用の適正化などを指示した通達を出しました。その結果、革手錠の濫用は確かに減少しましたが、刑務所における暴力容認の芽を摘み取ることまではできませんでした。受刑者の肛門に向けて直腸が裂けるほどの高圧の水を放水し死亡させたとされる事件をはじめ、刑務官による膝蹴り・足蹴りなどの暴力が何件も報告されています。

「懲らしめ」ではなく社会復帰に向けての準備を

 罪を犯したのは確かに悪い。だからこそ自分を振り返り、反省し、更生して出直すために裁判なり刑務所なりがあるわけです。受刑者に対して日本では矯正処遇と言い、「性根を叩きなおす」というイメージがありますが、欧米では「社会復帰のための処遇を受ける権利がある」というとらえ方なんですね。社会復帰するために自分のやったことを反省してもらい、生活していくための技術を身につけてもらう。そうすることによって再犯を犯す機会を減らしていく。犯罪の防止だけでなく本人の人権も保障される。罪を犯した人もまさしく人権の主体なんですね。
 日本人の刑罰観は、「悪いことをやったんだから厳しく罰して懲らしめる。辛い思いをさせることで二度と罪を犯さないようにさせる」というものだと思いますが、それはもう時代遅れだと言わざるを得ません。もうそろそろ社会復帰を主体とした考え方に転換していかなければならないと考えています。

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