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高齢者

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2000/06/22
これからは、ハートの介護が必要になってくる


実際に介護保険が始まると「何でもしてもらえる」と勘違いする人も出て、さまざまな要望が市町村に殺到すると思います。利用者の自立心も薄らぐのではないでしょうか。保険ですから、サービスを受けるにはお金を掛けるわけですが、「掛ける金額を少なくしてサービスは充実させろ、不足分は市町村でまかなえ」では、市町村はつぶれてしまいます。まず、制度の説明をみんなに分かるようにきちんとすること、利用者に自立する気持ちを持たせてスタートすることが大切やと思いますね。

今は60歳になっても、まだまだ50歳ぐらいの気持ちで頑張れるという人がいっぱいいます。行政は、そういう人たちがやり甲斐をもって取り組める何かを考えてほしい。野菜作りが好きな人には、税制など難しいことを言わず、遊んでいる休耕田などを利用して畑を開放すればいい。本当に高齢者社会をよくしたいなら、そこまでの政策が必要です。もちろん、国民は自分の健康を自分で管理する気持ちをもち、健康でありたいと努力するべきです。病気になれば、リハビリして治そうという気が大切です。僕もできるだけ運動を心掛け、合間をみてはルームランナーやバーベルで体を鍛えています。これからも介護保険については、自分の介護体験を活かした意見をどんどん言っていきたいですね。


江村利雄(えむらとしお)
前 高槻市長(大阪府)
1924年大阪府高槻市生まれ。摂南工科専門学校(現大阪工業大学)卒業。終戦後より大阪府職員に。22歳で結婚。大阪府で水道部工務課長、水道部技術長を歴任し、'80年55歳で退職。翌年高槻市助役に就任。'84年4月市長に初当選。4期目で在任15年。1年の任期を残し、'99年4月30日付で退任。著書「夫のかわりはおりまへん 高槻前市長の介護奮戦記」(徳間書店)を12月刊行。
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