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ジェンダー

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2000/09/24
女性差別アリの国会だけど、夫婦別姓導入と非摘出子差別撤廃を


差別はみんなおかしいんですが、とりわけ非嫡出子の問題に多くの人が鈍感でいることに、私は日本社会の病理の深さを感じるんです。今の法律で差別されているのは子どもなのに、「正妻の立場を守るため」なんてズレた理屈で正当化されているのはおかしい。不倫がいけないというのなら、不倫防止法でもつくればいいのであって、何の責任もなく生まれてきた子どもを差別するのは間違っているわけです。

夫婦別姓についても、反対派の人たちの言う「夫婦が同じ姓でないと、生まれてきた子どもがかわいそう。いじめられる」という理屈もおかしい。「じゃあ、中国のように父母の姓が違う国では、逆に同じ姓ならかわいそうなんですか、いじめられるんですか」「大人に『保育園に預けられている子はかわいそう』と言われて保育園出身の小学生が憤慨していた。周りが『かわいそう』と言わなきゃかわいそうじゃないんですよ」と話していくと、30分もあればだいたい説得できますよ。

水島広子さん私自身も別姓婚をしていて、戸籍は夫婦とも2歳の娘も「水島」姓、夫は旧姓を通称使用しています。夫が旧姓の印鑑証明が必要になった時などに書類上離婚届を出し、その後婚姻届を出し直すという「ペーパー離婚」も4回くらい経験しているんです。

同姓か別姓かはどうでもいいという人もいるのでしょうが、“闘う夫婦”の私たちには切実な問題だし、日本社会の単一の価値観を打破するために真っ先に考え、改正していかなければいけないことだと思うんです。それに、別姓が認められても、同姓を選択する人たちは依然として多いだろうし、諸外国の前例を見ても、社会の秩序が乱れるというデータもない。選択的夫婦別姓制度の導入によって、多様な生き方を認められる社会に一歩近づくことができると思うんです。

男女の問題について、若い人たちに言いたいのは、ライフスタイルに関わる大切なことを妥協しないでほしいということ。「改姓するのはなんだか嫌だけど、彼が望むからまあいいか」と改姓しちゃうと、いつも妥協は妻がするというパターンになってしまったり、「◎◎家の嫁」の立場に置かれたりということになりがちですから、そこのところをきちんと考えておかないと後悔しますよ。

水島広子(みずしま・ひろこ)
衆議院議員。医学博士。1968年東京都生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院修了。医師免許取得後、1年間の海外放浪旅行を経て、93年から母校の精神神経科に勤務。専門は摂食障害をはじめとする思春期前後の問題やジェンダーに関する諸問題で、著書に『親子不全=キレない子どもの育て方』(講談社現代新書)、『セクハラこれが正しい対応です』(共著、中央経済社)『専門医がやさしく教えるうつ病』(PHP研究所)などがある。民主党の女性候補者公募に応募し、2000年6月、栃木1区から立候補して衆議院に当選を果たす。宇都宮市に、別姓婚で映像プロデューサーの夫、2歳8カ月の娘とともに在住。
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