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2002/01/18
婚外子差別と闘う会 「夫婦別姓」と「婚外子差別」について考えよう



女性の生き方へのランク付け

そんな考え方こそが問題なのだとメンバーの一人、善積京子さんは指摘する。
「誰と性関係を結ぼうと個人のプライベートな事柄。法律は個人のライフスタイルに対して中立でなければならないのに、子どもを通じて女性の生き方を規制している。女性の生き方をランク付けするのもおかしい。さらに、子どもにとって出生は偶然の出来事で、子どもは親を選べません。どんな関係から生まれた子も平等に、かけがえのない存在として私たちの社会に受け入れるべきだと思いませんか」

婚外子差別と闘う会のみなさん 婚外子差別と闘う会は、婚姻制度と戸籍制度への疑問を発端に婚外子差別に対して「ノー」を言う運動体として、1982年に発足。出生届の『父母との続き柄』欄が婚外子に対する露骨な差別であるとして無記入での届け出や、大阪府男女共同参画推進条例(仮称)への意見書の提出、不適切な表現を行う政治家、文化人、マスコミへの抗議などを行ってきた。最近では、戸籍制度について考え、シングルマザーを応援するホームページも運営。現在、約180人のメンバーがいる。
メンバーの一人で、自身が婚外子の屋代道子さん(50)は、「私は長く、人間としての価値を低く見る風潮に対して、反論したいのにその思想を構築できなかった。一番怖いのは、婚外子自身が自分を恥じ、低く見られて当然だというふうに納得してしまうこと。そういった力が社会全般にあると思う」。


婚外子差別と闘う会のHPアドレスは
http://blog.livedoor.jp/konsakai/

シングルマザーの時任玲子さん(39)は、「たとえば、皇太子妃雅子さんの出産はめでたいことで、生まれた子は崇められる。シングルの女性が出産するといかにもいけないことをしたかのような目で見られ、子どもは低められ、おとしめられる。これは、差別以外の何物でもない。同じ出産、同じ命なのに差をつけようとするシステムはおかしいと思う」と話す。婚外子差別を避けるために婚姻届を出して子どもを産むことは、すなわち婚外子を差別する加害者側に立つことだ、とも。

婚外子差別をなくす方向へ

厚生労働省の『人口動態統計』によると、2000年の婚外子出生件数は1万9436人。出生率1.6%。1000件の出産のうち16件はシングルマザーもしくは事実婚の母親によるものである。
この中には、自分の意志によりシングルマザーや事実婚を選んだケース、また、意に反してシングルマザーにならざるを得なかったケースも含まれるだろう。いずれのケースにおいても、生まれてくる子どもは独立した一つの人格であることを考えれば、婚姻内から生まれた子どもと婚姻外から生まれた子どもをカテゴリー分けすることの差別性が見えてくるはずだ。
父母が法律婚かどうかは、子どもに選択の余地も責任もないのである。「非嫡出子」への明らかな相続差別が記載された
法律は言うに及ばず、日々の生活の中、人々の意識の中に潜んでいる婚外子差別が、選択的夫婦別姓の導入では解決できない重大な人権侵害だと認識を深め、国会審議を注視していきたい。
なお、子どもの差別を定めた現在の民法は、94年、98年、2000年に国連の規約人権委員会から改めるよう勧告されている。

 

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