一門ファミリーというのがある落語家の世界は、上下関係のある縦社会です。一日でも早く入門した者が先輩だとか、師匠より後から箸を付けて先に置くとか。厳しい厳しいと言われるけど、これって一般社会の常識と同じでしょう? そんなような、教えてもらったことも全部含めて、文枝一門ファミリーは私にとって本当に居心地がいい場所です。落語家とはという、居場所の柵の大きさがちょうど良かったんでしょう。文枝師匠には、落語が男の世界だという固定観念に縛られることなく育ててもらったから、一門の中ではなぎ倒したくなる柵も別段ありませんでしたし(笑)。周りの男の人たちは「女の子の前でエッチな話をしたらあかんのかな」と気遣ってくれたり、その気遣いにこちらが気を遣ったり、疎外感を覚えたこともありましたが、そういうのは慣れです。今では何にも気にならないですね。 居心地良さと自立の関係は・・ もっと言えば、その着物は、自分の稼いだお金で買うのだから文句は言わせないと、私は思う。親にせよだんなさんにせよ、誰かに自分が飼われているのだったら、その人の言うことを聞かんとアカンでしょう? 私、そういうのが嫌いなんです。「この家を放り出されたら一人で生きていかれへんから、おとうさんの浮気も我慢する。ストレス解消のために服を買うのが精一杯」みたいな専業主婦の人たちが少し前まで多かったけど、私はそういう生き方は違うと思う。自分のやりたいことをやろうと思ったら、自分で稼いで自由になるお金を持たなあかん、自由な時間を作るためにやりくりをしないとあかん、と思うんです。
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